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pixivコミックのCMを通してピクシブが伝えたかったことーTVCM制作の舞台裏

「好きなものが共通な人と友だちになれる場所」

2016年12月28日に放映された「pixivコミック」を描く初のテレビCMは、ピクシブにとって大きなチャレンジとなりました。

◆pixivコミック 「きみの好きが、ここにある。」ロングバージョン 篇

「好きなものが共通な人と友だちになれる場所」という言葉で始まるこのCM放映は、部署を横断した12人のメンバーが率いるプロジェクトによって推進されました。 その名も「オロチ作戦」。全社員が同じ作戦に向かう中で、率いるメンバー12人を「ヘッド」に見立て、日本神話に登場するヤマタノオロチをイメージした作戦名です。

オロチ作戦のリーダーに選ばれた佐藤里佳は答えます。
「当時、マネージャー陣で『シン・ゴジラ』が大ブームだったんです!それで、『シン・ゴジラ』のヤシオリ作戦をカバーして、われわれピクシブの“オロチ”がこの難題に立ち向かうための作戦にしよう、と。ネーミングはノリですけど、要は本気でやろう!ってことですね」
今回は、そのオロチ作戦について、リーダーの佐藤里佳とCM制作担当の濱吉玲奈に、自らの来歴とともに振り返ってもらいました。

「インターネットに恩返し」「がむしゃらに働きたい!」を叶えた、ピクシブへの転職

──2人は転職組ですが、ピクシブで働こうと思ったきっかけは何でしたか?

佐藤
新卒で入った会社ではガラケー・PC向けのWebサイト開発のプロジェクトマネジメントから始め、Webディレクターとしてスマホアプリの要件定義から開発ディレクションまで全体的に担当しました。それからサーバやネットワークのオペレーション、アーキテクトも経験し、大きな会社で沢山のユーザーに使われているプロダクトに携ることができる充実した環境でしたが、入社前からずっと「いつか自分がやるべきプロダクトを担当して、自分の力で大きくしたい」という想いを抱いていたんです。

もとをたどると、大学生のときに作ったFlashアニメが半年間で100万PV見られるという経験も大きかったと思います。インターネット上でのクリエイティブやカルチャーに関心をもって接する中で、いつからか「作る人たちを幸せにすること」が、私にできるインターネットへの恩返しになると思って、そういう仕事がしたいと考えるようになりました。そんな時、ローンチ初期からユーザーだったpixivの話を聞きにいってみると、自分が求めていること、大事にしたいと思っていることを、まさに実現している会社だなと感じたんです。

社員は心からクリエイターを幸せにしたいと思っているし、実際にそれができるプロダクトを保有していて、pixivのような場がずっとあり続けてほしいと思っている。それに対して自分も貢献していきたい気持ちが強くなって、できることをしたいな、と。

濱吉
私は新卒で音楽業界に進んだのですが、配属先があまり外部と接しない、社内システムなどを管理する部署だったんです。仕事は安定しているし、早く帰れてもいたのですが、20代前半で「がむしゃらに働きたい!」と心では思っていました。そんな時、mixiで机を譲ってもらったことで知り合いになった片桐孝憲(※元ピクシブ代表取締役社長、現DMM.com代表取締役社長)が、mixi日記に「人手が足りない」と書いていたのを目にして、ピクシブで働くことになりました。2008年で、まだ社員も10人くらいの頃です。人事や広報だけでなく、会社の掃除や犬の散歩もやる「何でも屋」でしたが、なぜか入社3カ月後にイベント開催が決まっていたので、とりあえず担当してほしいと言われて。

──まったくの未経験だったのに、いきなりイベントの仕切り役だったんですね!

濱吉
イラスト展示会の「pixivフェスタ」というイベントで、結果的には沢山のお客さんがいらっしゃって、いろんなメディアにも取り上げてもらいました。そこから定期的にpixiv主催のイベントを企画したり、人事や広報を務めたりしてから、現在は企業やテレビ局との共同プロジェクト、ギャラリーの運営などを手がけるアライアンスチームのマネージャーとして、いろんな企画に携わっています。

──今回の「オロチ作戦」も、その企画のひとつとして走り出した格好でしょうか。
やはり計画は綿密に立てられていたのですか?

濱吉
実は「CMをやろう!」となったのが9月の初めで、12月末からCMを流すことだけはすでに決まっていたんです。

──奇しくもまた3ヶ月後というすごいスケジュールが……。

濱吉
でも、ピクシブはそういうパターンが結構多いです(笑)。

佐藤
うん、多いです(笑)。今回も完成形のCMイメージもまだなくて、どんな形にするかを探っていくというか。

濱吉
もちろん「pixivコミック」アプリのダウンロード数アップが目標にあったのですが、それはそれとして、社員全員が一丸となって進める「お祭り」のようなプロジェクトにしたいという思いがありました。でも、アサインされたメンバーも最初のうちは、自分がオロチ作戦に関わっている意識が薄かったかもしれないですね。

佐藤
「何をやるか」もしっかり決まっていなかったですから。ただ、社内の各領域のプロフェッショナルが顔を揃えて、普段のプロジェクトはひとまず一切置いて、会社全体でのプロジェクトを組むというコンセプトは決まっていました。そのリーダーに選ばれたのは光栄でしたし、頑張ろうという気持ちはありましたね。

濱吉
そんな状態から、まずは「みんなで今回のCMを作るんだよ」という意識を持ってもらうために、社内コンペをするという意見が上がって、そこからスタートしました。

佐藤
結果的に、社内からは20案以上が提出されました。スクリーンに映しながら全員の前で発表してもらい、それを濱吉がまとめて、さらに企画へ落とし込んでいきました。

CM制作では「ウソを撮りたくない」と決めた

──そのコンペ案、どうやってまとめたのですか?

濱吉
みんなの考えをまとめていくうちに、ルール……というか、「やりたいこと」と「絶対にやらないこと」が見えてきたんです。それをもとに電通のクリエイティブディレクターとチームメンバーで話し合って、企画をどんどん詰めていきました。

──どんなルールだったのでしょう?

濱吉
例えば、サービスの本質を伝えることを第一にして、著名な芸能人が登場しないと成り立たないようなCMはやめよう、とか。今回のCMが好評でも、後先応用性がないものになってしまいますし、何より「絶対にウソを撮りたくない」という総意がありました。

──その意思が、pixivコミックで執筆している作家たちが登場するストーリーにつながったのですね。

濱吉
作家さんが喋っている言葉も、全てインタビューから取ったもので、台詞があったわけじゃないんです。みなさんが話して「いいな」って思った言葉を、そのまま切り取った、リアルな声です。

──その「リアル」な声こそが、ピクシブが実現したい世界や価値観をウソなく表しているから、視聴者の心に届く部分もあったのかなと感じました

佐藤
そうですね。作家さんもひとりの人間で、ちゃんと画面の向こうに存在することが伝わるCMでもあると思うんです。作品をつくっているのも人間で、アップロードしたあとにリアクションをする一人ひとりも人間ですからね。CMにご登場いただいた『徒然チルドレン』の若林稔弥先生が話した「読者がちゃんと面白いと言ってくれたから、描き続けられた」にも表れていますが、そういう作者と読者の関係性って意外と見えなくなりがちで……。PCやスマートフォンの画面を見ていると、1枚のイラストがどうやって生み出されているかの想像力って、やっぱり湧きにくいところがあると思うんです。

濱吉
たしかに「pixivコミックの機能性や利便性」を推し出すというより、「pixivの世界観」がよく表れている映像になりました。本音を言うと、アプリのダウンロードにつながるのか不安なくらいでしたが、結果から言えばダウンロード数も伸びました。ただ、不安があってもこの企画で進めたのは、電通のクリエイティブディレクターと話していくうちに、チーム内からも「みんなでつくって良かった、ピクシブで働いて良かったと思えるCMがいいね」という声が大きくなったからですね。

ピクシブのカルチャーには「寛容さ」と「真摯さ」がある

──放映後の反応はいかがでしたか?

佐藤
社員たちは「いいものができて良かった!」「これは自分たちへのご褒美じゃないか」と感激してくれていました。視聴者からも放映直後から好意的な反応をTwitterやSNSでいただきました。その多くは、pixivがCMを打ったという事実よりも、『ヲタクに恋は難しい』のふじた先生や、『うさぎは正義』の井口病院先生がテレビに出ていることを喜んでいらっしゃる様子でした。pixivとしては常にユーザーを支える側でありたいと思っていますから嬉しい反応といえます。

──CMであっても、pixivよりも作家が目立っているのは、ポジティブなことなんですね。

佐藤
もちろん、pixivとしても有名にはなりたいのですが(笑)、やっぱりpixivは作家さんたちにとって良い執筆状態を実現するためのプラットフォームですから。

──今回のCMプロジェクトを通じて、「ピクシブという会社の良いところ」とは改めてなんだと思いますか?

濱吉
やっぱり「人が温かい」ことですね。私が転職してきた頃から、それは変わらない雰囲気というか、カルチャーというか。

佐藤
みんなすごく優しいですよね。私は入社した後にそのカルチャーを知って、今回のCM制作を通じて、あらためてこの会社でもっと頑張りたいという気持ちが湧いてきました。たぶん、その優しさって、お互いに対する「寛容さ」だと思います。それぞれ仕事でも趣味でも大事にしているものや得意なことが違っているけれど、その力を借り合って、お互いに認め合うことで、気分良く働けるだけじゃなくて、仕事でも高い成果が出ることを知っているんです。

それって、pixivが大事にしている「いろんな『好き』に対して寛容である」ことにもつながるのかな。ジャンルでいえば、それこそBLもケモナーも百合もR18も、pixivにはいろんな趣味から生まれた作品とそのファンが集まっています。それぞれが持っている個性がフラットに受け入れられているということは、ピクシブという会社の形とも通じていると思います。だからこそ、CMで表現された姿に社員が素直に感動したのは、「私たちは作家さんやユーザーのために仕事をしている」と全員が共感できる下地を持っていたからじゃないでしょうか。

濱吉
もともと、ピクシブを作り上げていった人たちはある種の「真摯さ」を持っていて、その基準でこれまでも採用を重ねてきたから、その特長をもった人たちが集まっているんだと思います。

佐藤
「真摯」って、代表の伊藤もよく言っているんです。実はオロチ作戦が終わった時に伊藤から、こんなメッセージが送られてきたんです。一部を読み上げると……

「働くということは、単に時間の切り売りもできれば、青春のように思い出を積み上げていくこともできる。青春とは何かというと、青くさいチャレンジだと思う。それは、会社や社員やユーザーに対して真摯に居続けることであり、夢を持って挑戦することだ。ピクシブは、それを正しく感じ、良いと思える人たちの集まりだと思う」

私もそういったチャレンジを楽しみながらできる仕事環境、それに夢を抱えながらトライし続けられることを誇りに思います。伊藤からも「これからもずっと、楽しさと感動を抱えて、プロダクトを、会社を、一緒に大きくしていこう」と言葉をかけてもらいました。

──真摯という言葉の意味も含めて、ピクシブが「何を大事にしているのか」が見えてきたように感じます。

佐藤
結局は「ウソがない」ということなのかもしれないなと、振り返って思いました。良いものを届けようと思っていない人から、良いものが出てくることはないですから。

気鋭のCMクリエイターから見た、「ピクシブ社員の姿」とは?

オロチ作戦のメンバーが伝えたかったピクシブの想い。社員たちが考案した企画を受け取ったCM制作会社は、どのように形にしていったのでしょうか。

今回は、CM制作の陣頭指揮にあたった、電通CDCに所属するクリエーティブディレクターの岡野草平さんに、当時のことを思い返していただきました。名だたる広告賞で評されてきたクリエイターの岡野さんから見て、オロチ作戦は、ピクシブは、どのように映ったのでしょうか。

──岡野さんが今回の企画書や絵コンテを描くときには、どのようなことを大事にしたいと考えていましたか?

岡野
この企画を始める前に、二度ほど前代表の片桐さんをはじめ、オロチ作戦の方々と話す機会がありました。でも、意外と「CMに求めている方向性がピクシブ内でもいくつかありそうだ」と感じたんです。だからこそ、こちらは幅を持たせた複数案を提示しようと思いました。大きくは、ダウンロード数獲得に寄せたインパクト重視のCMか、ピクシブのブランドイメージを伝えるに寄せたCMかの2軸で考えました。CMが一旦完成したあとも、コピーやレイアウトなどのディティールに関して、どちらの方向性を取るのかを検証し、修正案を揉みました。完成形を見ていただければ、結果的にピクシブがどちらを大切にしたのか、おわかりいただけると思います。

──なるほど。だからこそ、社員たちも完成したCMを見て、ふだんから伝えたい想いや考えが表れているから「自分たちへのご褒美だと思った」と感激できたのだと思います。とはいえ、撮影や制作において「今だから言える裏話」や「大変だったこと」はありますか?

岡野
そうですね……ピクシブの皆さんがCMを作ることが初めてでいらしたので、こちらから説明はするものの、完成形をなかなかイメージしてもらいづらかったことでしょうか。それから、作家さんとの交渉は全てピクシブさんに進めていただいたのもあって、担当していただいた方々には苦労もあったのではないでしょうか。

──ピクシブ社員と仕事をした中で、社員に共通することを挙げるとすれば?

岡野
「情熱」でしょうか。誰もが「このプロジェクトを成功させるんだ!」という気概をお持ちでした。あとはピクシブという会社に対しての「愛」ですね。みんな、この会社が好きで集まってる人たちなんだろうな、と。 そういうピクシブに僕が感じた印象を、そのままCMにしました。

岡野さんの言葉をたどると、ピクシブが大切にしている想いが「外側から」も見えてくることが伝わります。それは、社内コンペを通じて集まった多くの社員からのアイデアをベースに、前代表片桐や代表伊藤、そしてオロチ作戦を率いたメンバー12名をはじめとして、まさにピクシブ全社員が一丸となって作り上げた証のようです。だからこそ、より純粋な「ピクシブが大切にしたいメッセージ」がCM全体にも表れてきたのでしょう。 (執筆者:長谷川賢人

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