こんにちは。17新卒のhnpnです。 2019年5月に、ピクシブ株式会社(以下ピクシブ)はオフィスフロアを移転し、5Fと6Fの2フロア体制となるとともに、オフィスを改装しました。 www.pixiv.co.jp そこで今回は、オフィス改装プロジェクトの中心となった、デザイナーのyspさん、総務部のkantokuさんbecciさんに、改装の裏側についてインタビューしました!
本日はよろしくお願いします。まず自己紹介をお願いします。
ysp 10年ぐらい前に入社して、ずっとピクシブのデザイン業務に携わってます。今はVRoidプロダクト周りのデザインを担当しています。最近Twitterで、3文字アカウントの@yspをよこせって言ってくる方が一定数いて困ってます。
kantoku 10年ぐらい前に入社して、バックオフィス全般の業務に携わってきました。今はコーポレート本部内の総務部に所属しています。「kantoku」の由来は庵野秀明監督に見た目が似てるからですね。
becci 2017年に入社し、入社から現在までコーポレート本部に所属しており、総務業務を中心にバックオフィス業務を行っております。趣味は、ゲームと散歩です。
新しいオフィスの構成を教えてください。
kantoku 5Fは、執務スペース、250名着席できるミーティング(以下MTG)スペース、食事もできるカフェスペース(バーカウンター、カフェテーブル)、会議室(少人数用)を備えています。
6Fは、執務スペース、来客スペース、会議室(大人数用、1on1(面談)用部屋、スタジオスペース)を備えています。
オフィス改装プロジェクトの背景
オフィス改装の話はいつ頃から出ていたのですか。
kantoku 改装について、本格的に動き出したのは2018年9月からでした。
becci 前回オフィスを改装した2017年3月には、社員数は119名でした。しかし2018年9月には165名になり、増員とともにオフィスが十分に機能しなくなっていました。使用目的が限られている場所もあり、以前から改装の話はちょくちょくあがっていましたね。
約9ヶ月の一大プロジェクトだったんですね! どんな要件がありましたか。
kantoku リストにするとこんな感じです。
- 160名→250名の執務スペース
- 160名→250名の全体会議スペース
- 1on1(面談)用のスペースを増やす
- 2F/6Fから5F/6F運用にする
- ダンバー数1に対応するため、コミュニケーションが取りやすい環境にする
250名規模になっても使えるオフィスということが、一番大きな要件でした。ピクシブは、毎週水曜日に全社員が参加する全体会議とランチ会を実施しているのですが、以前のオフィスでは椅子に全員が座れない状況でした。
オフィス設計の裏側
オフィス改装にあたって、何を気にしましたか。
ysp ランチ会の時に、全社員がワンフロアで参加できることを重視しました。ピクシブでは、「みんなで一緒に」という考えを大事にしています。
また、これまでのピクシブらしさ2を引き継ぎつつ、余白的スペースを作ることを意識しました。
聞き慣れない言葉が出てきましたね。余白的スペースについて、また余白的スペースを大事にしようと思ったきっかけについて教えてください。
ysp 以前のオフィスでは、執務スペースとMTGスペース、休憩スペースがちゃんと分かれていました。いや、それ自体は当たり前の事なんですが。なんというか、用途が決まっていない中立のスペースが少なかった。なのでそういった何に使っても大丈夫な、余白的スペースがあると良いかもと、なんとなく思っていました。余白スペースじゃなくて余白的スペースです。これ大事。
becci yspさんは、オフィス改装にあたって社員をよく観察されてましたよね。
ysp というのも、以前の6Fオフィスにあった、コの字型のひな壇3のような長時間いると辛そうな場所でも、PCを持っていって仕事したり本を読んだりしてる人が結構いたんですよ。
ysp あと、きのこ机。執務スペースの中にスタンディングで使える机があって。ここもよく使われてました。立ちながら仕事していたり、ぼんやりと何か考えていたりしていて。どうやら席から離れる事が重要っぽいなと。環境変えると集中できるとか良く聞きますしね。
ysp ただ、休憩スペースがありながらもそういう居心地の悪いところに行くって所が引っかかってたんですよ。あれは何なんだろうなと。そこで、休憩する場所とされてるスペースではなく、用途が定められていない余白的スペースの方が好まれるのかなと思い立ったわけです。
でもこういったスペースってオフィスに人が増えて来ると、普段のMTGやインターンシップに来ている学生の利用によって、真っ先に消費されてしまうんですよね。これはどうにかならないかなと思っていました。
たしかに、私も気分転換して作業したい時に、近くの空いている机を使うことがあります。
ysp それから、要件にもあったダンバー数問題は、コミュニケーション量の低下が主な原因です。なので、まずコミュニケーションが発生しやすい環境を考える。そこで先程の余白的スペースです。
余白的スペースは何に使ってもいいので、集中力が上がる側面だけでなくリラックスしても良いという側面も持ちます。コミュニケーションはリラックス状態の方が発生しやすいでしょうから、単純に余白的スペースの数を増やせればと思っていました。
まぁ思っていたものの、要件を聞いて愕然とするんですけど。
なぜですか?
ysp 要件に対して、スペースの余裕がなさすぎるんですよ。とても余白的スペースとか言ってられない。できることがほとんど無くて。
becci yspさんと相談する中で、余白的スペースの話をされた時は「あ、また要望増えた⋯⋯。」ってなりましたね(笑)
ysp kantokuとbecciが頭抱えてました(笑)
どうやって解決しましたか?
ysp 思いの外どうにかなっちゃって。経営層や設計会社と色々話し合った結果、以下にまとまりました。
- まず250名の執務スペースを確保する。
- 次に250名が一堂に会する全体会議及びランチスペースを確保する。ランチスペースも兼ねているので、大量の机と椅子を設置する。
- 最後に1on1(面談)のMTGスペースを配置する。
すると何ということでしょう。週1でしか使わない全体会議スペースが、普段は特に用途が定められていない余白的スペースに様変わり。私が思っていたことも見事に解消されたじゃありませんか。
どうにかなっちゃった!
ysp こう書くと簡単なんですけども。実際は5Fと6Fの使い分けや1on1(面談)の部屋数とか細かい調整を色々やってました。あと余白的スペースの件も仮説でしかなかったから、受け入れられるか全く謎でしたしね。決めた時の見切り発車感すごかったですよ(笑)
こだわりと裏話
特にこだわったことはありますか?
becci yspさんは、やっぱり一番はバーカウンターじゃないですか?
ysp そうですね。設計会社さんのオフィスにお邪魔した時、オフィスに入ってすぐの所に立って話ができるカウンターっぽいスペースがありまして。入ってすぐという所が良かった。オフィスに入る時出る時必ず目に入る。ああこれやんと。
弊社では就業後に軽食をとりながらダベるという事がしばしばあって。その場所として先に出たきのこ机が大活躍してました。新しく入社した人を馴染みやすくしたり、インターン生の課題終了の打ち上げをしたり、真面目にプロダクトの話をしたりと、かなり有意義に機能してたんですよ。サービスを跨いで人が集まりやすい所というか。ただまぁ良いことばかりでもなくて、執務スペースの中なのでうるせぇ!となったり、床が絨毯なのに汚したりね。
というのもあって、バーカウンターは元々欲しかった。昼は余白的スペースとしても使えますし、要らないという声もありましたがやっぱり要件にコミュニケーションできやすい環境ということで導入しました。
becci バーカウンターの壁面素材には、以前のオフィスの木材(6Fの机や壁)を流用しました。社員の色々な思い出が残っているオフィスがなくなってしまうのは、名残惜しかったですし、どこかストーリー性があった方がピクシブらしいな、とも考えてたんですよ。結果コストダウンにも繋がり良かったです。
kantoku それから、5Fのサーバールームを変えたことです。オフィスの通信環境を新しくするには手間と費用がかかる上、目に見えない部分なので実感を持ちにくいです。一方で、通信ができなくなるともちろん業務はできないし、通信が遅くなると処理スピードも遅くなってしまいます。
私は回線自体の専門家ではないので、社内のインフラチームに相談するのですが、可能な限り要件を満たして、使い勝手の良いものにしたいと思いました。そうすれば、会社全体の処理速度が上がり、通信できない際の対応も迅速にできると考えたので、こだわりました。
インフラチームも最新機材の導入や無線アクセスポイントを増やすなど、今回の改装タイミングでやりたいことがあったようで、一緒に相談しながら進めました。
becci あとは、椅子の素材をクッション性があり、汚れにくい(汚れても拭ける)素材のものを採用しました。以前のひな壇は木の素材だったので、長時間座ってたら辛かったんです。週1で行っている全体会議でも自席用に置いてるクッションを持ち込んでいる社員を数名みかけてたので、ずっと考えていました。
以前のオフィスにあった、布でできたドーナツ型の椅子は、かなり汚れてしまいました⋯⋯。
ysp あの生地選ぶの難しかったよね。
あ、私もう一つあって、これはもうずっとやりたかった事なんですが、やっとこさすべての会議室の壁面をホワイトボード化することができました。
MTGでは簡単にアウトプットする環境が普通に必要ですが、それを俯瞰して見れるかどうかもかなり重要です。意思決定はやっぱり全体を見ながらできた方が良いですし、最近のオフィスは当たり前にこの環境がありますしね。
裏話があれば教えてください。
ysp サラッと書きましたけど、全体会議スペースについては最後の方までギリギリまで迷っていましたね。 最初は、もっとピクシブっぽいデスクが良いんじゃないかとか、机は折り畳みがいいんじゃないかとか色々コメントをもらいました。最終的に机がいっぱいあって、食堂みたいなスペースになりましたが、当時うまくいくか本当にわかりませんでした。
becci あとは分解できる机だけど、並べると「pixiv」という文字になる机の提案をもらったこともありましたね。
ysp あれ俺未だに好きだったんやけど(笑)
半年以上経過して
改装から半年以上経過した今、オフィスは思惑通り使ってもらえていますか?
kantoku バーカウンターが想定以上にうまく機能してくれているな、と感じます。
当初、お茶をしに行くところに機能が限定されて「余白的スペース」でなくなってしまうかも、という懸念がありました。実際に蓋を開けて見ると、前向きに使ってくれていそうです。
ysp オフィスにバーカウンターがある会社はいくつもありますが、実はうまく機能してる所をあまり見たことが無かったんですよ。なので、余計に意図通り機能するかは不安だったんですが、結構ポジティブに使ってくれてるみたいで安心してます。
becci バーカウンターで楽しそうなことをやっている人達がいると、自然と集まっている様に感じますね。 以前のオフィスもそうでしたが、視界を遮る壁を少なくしているので、その場に立つと誰が何をしているかを把握できるのも一役買っているのかと思います。
ysp 日中のコミュニケーションも活発なようで、バーカウンターをカフェスペースとして、コーヒーやお茶を飲むところとして使ってくれてたりしてて。しかもちゃんと淹れてるんですよ。コミュニケーションに貢献してそうで何よりです。 inside.pixiv.blog
ysp あと全体会議スペースの大量の椅子と机。あれは思った以上に良かった。使いやすい。MTGスペース無いやんって事も減りましたし、あれだけあるとどこ座っても良いとなるから行きやすいし。
ピクシブオフィスを使った、社内外の勉強会やイベントが以前よりも増えたように感じています。
becci 当初、イベントや勉強会の時も、来客は6Fにのみご案内するようにオフィスを設計しました。しかし、全体会議のスペースが200名規模で2スクリーンを使えるようになったので、5Fが人が集まる場所として使いやすくなったのかなと思います。
次に改装するならこれをやりたい、と考えていることはありますか。
becci もっとスペースが確保できれば、今度はピクシブらしい部屋を作りたいですね。ピクシブの象徴的な部屋があると、来客の方がもっとピクシブを訪れた感が出るし、写真撮影・取材の時に便利だなと思います。
ysp 今回実現できなかった「螺旋階段で全部のフロアをつなぐこと」「会社の数値が見える、専用のディスプレイをでかでかとやること」「天井を抜くこと」がやりたいですね。
天井に剥き出しになっているところを作ると、部屋全体を広く感じます。空間が広いと認識すると、人間のクリエイティブの領域が向上すると言われています。今回も検討しましたが叶わなかったので、次回こそと思っています。
まとめ
最後に、オフィス改装プロジェクトを振り返って、一言お願いします。
ysp 自宅をリノベーションした時にも思ったんですが、オフィスを設計してる時の感触が、Webの設計してる時の感触と全く同じなんですよね!ユーザーにこうなって欲しいからここはこのように機能するようにしようみたいな。しかも納期も予算も要件も決まってるのに要望だけがバンバン上がってくる感じも、個人で仕事を受託していた頃のそれと全く同じでしたし。意外と相性良いのかもしれません。
kantoku 10年で5回目の大きなオフィス工事(移転、増床、改装)でしたが、改装は初めてだったのでスケジュール進行も大変でした。2人の協力と、全社員の荷造り協力がなければ成り立たなかったと思います。本当にありがとうございました!
becci 数ある総務業務の中でも貴重なオフィス改装に参加させてもらい、僕自身非常に良い経験をさせてもらいました!新しいオフィスになって、社員や来訪者から好評いただいたり、想定以上に活用してくれてる場面を見て、本当に改装して良かったと実感しました。 会社全体の業務をほぼ止めずに進行できたことに、一番ホッとしています。ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
ありがとうございました!
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