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pixiv Sketch iOSアプリのライブ配信機能はいかにしてリリースされたのか

こんにちは、@halcanaです。pixiv Sketchのプロダクトマネージャーをしています。
好きなものはお絵かきと狐耳とツインテールです。よろしくお願いします。
今回は2019年12月にリリースした、iOSアプリ版pixiv Sketchのライブ配信機能の紹介と、その開発の舞台裏を紹介します。

pixiv Sketch LIVEとは?

pixiv Sketch LIVE 皆さんはpixiv Sketch LIVEをご存知でしょうか?
pixiv Sketch LIVEは、ピクシブが2017年から提供しているライブ配信プラットフォームです。クリエイターの皆さんに気軽に創作の過程をライブ配信してほしい! 日々のお絵かきをもっと楽しくしたい! という思いで日々サービスを提供しております。
おかげさまで累計配信数は100万回以上、視聴数は7200万回を突破するなど、配信・視聴ともにたくさんの方に楽しんで頂けています。

pixiv Sketch LIVEはこれまでPCブラウザからのライブ配信にしか対応していませんでしたが、冒頭でも触れたとおり、なんと2019年12月からはpixiv SketchのiOSアプリからもライブ配信ができるようになりました!
この記事では、素晴らしいチーム開発の事例となったライブ配信機能開発の全容を振り返りつつ、最終的にPMである僕自らpixiv Sketch運営として公式にお絵かきライブ配信を行い、ユーザーの皆さんと直接語り合うに至るまでのすべてを紹介したいと思います。

そもそもなぜiOSアプリでライブ配信なのか?

皆さんはiPadとApple Pencilを使ってお絵かきしたことがありますか? もし触れたことがなければぜひ一度体験してみてください。僕はこれまで一般的なペンタブレットや液晶タブレットを使ってイラストを描いていましたが、iPadとApple Pencilでのお絵かきは過去のどんなデバイスよりも自然で感動しました。
また、最近は様々なお絵かきアプリが登場していることもあり、タブレット端末を用いてイラストを描くクリエイターは日々増えています。
その他にも様々な要因が重なった結果として、場所や時間を問わず使えるiPhoneやiPadでのお絵かき体験を向上させていくことは、pixiv Sketchのコンセプトである日々のお絵かきをもっと楽しくすることに直結するのでは、と考えました。

企画・技術検証

……と、いうような内容をチーム内で話し合い、まずはiOSアプリからライブ配信することは可能なのか?という技術検証を行うことになりました。この時点では何もかもが手探りの状態だったため、エンジニアに依頼して慎重に時間をかけて検証を行ってもらいました。
iOSからのライブ配信技術については、昨年のiOSDC Japan 2019で同じチームの@fromatomから発表させて頂きましたので、もし興味がありましたらぜひ以下の記事もご覧ください。
inside.pixiv.blog

技術検証を進め「どうやらライブ配信できそうだぞ?」ということがわかってきたところで、iOSライブ配信プロジェクトとしてチーム開発に乗り出すことになります。

Sketch流スクラム開発

さて、いよいよ本格的なプロダクト開発をスタートさせるわけですが、ここでSketchチームのチーム開発の手法について少しだけ紹介させてください。
Sketchチームでは、昨年以前からStory Pointの概念を取り入れたスクラム開発を行っています。このスクラムでは2週間を1イテレーションと定義し、2週間単位でメンバーが実行するタスクを決定していました。
この仕組みは非常に上手く回っていたものの、イテレーション中にはiOSライブ配信プロジェクト以外のタスクも含まれるため、プロジェクト単独のチェックポイントを別途設けて進行を管理することにしました。このチェックポイントはイテレーションとは異なり、開発の進行状況に応じて不定期でミーティングの場を設定していました。
一見複雑なように見えますが、2週間ごとのイテレーションではプロジェクト全体の進行状況を確認し、不定期のチェックポイントではタスクの分解や具体的なデザイン・実装について相談する、といったように上手く使い分けることができました。

その後、開発が軌道に乗ってきたところで、ユーザーコミュニケーションの設計やプロモーション企画といったビジネスサイドの施策が動き出すことになります。
PMがこなすべきタスク量が膨大になってきたため、同じチームの先輩PMである@geta6と役割を分担し、主にプロダクト開発のPMを@geta6が担当し、僕はユーザーコミュニケーションのマネジメントを行うことになりました。
1プロジェクトに2名のPMが立つというやや特殊なチーム構成となりましたが、この分業によってお互いの担当分野の業務効率が高まり、結果的にはリリース予定日を前倒しすることができました。

これは開発が軌道に乗るとホワイトボードでタスク管理するのが捗りますの図と、後に追加された完了タスクを供養するボックス、通称『霊園』の様子

ユーザーコミュニケーション設計

そのような経緯で僕はユーザーコミュニケーション設計に専念できるようになり、まずはどのようなユーザーコミュニケーションが理想なのかを定義する作業を行いました。
企画段階で作成した要件を更に深堀りし、どういった施策を、いつ、誰に向けて、なぜ行うのか……という設計書を用意してチームで共有しました。
そのドキュメントを元に、PM、アソシエイトPM、CM(コミュニティマネージャー)といったビジネスサイドのメンバーとタスクを分担し、告知用ランディングページの作成やプレスリリースの準備を進めていきました。

ドッグフーディング

もちろん、その間にも並行してプロダクト開発は進行しており、いよいよMVP(※Minimum Viable Product:必要最小限の機能を持ったプロダクト)ができあがりました。
このプロジェクトのMVPはライブ配信機能だけが追加されたテスト専用のアプリです。
さっそくMVPを使ってライブ配信を体験するドッグフーディングを実施しました。
ドッグフーディングとは開発者や社員が社内テストとして完成前の自社アプリを利用することで、ユーザー目線での修正点や改善点といったフィードバックを得ることを目的としています。
今回のドッグフーディングでは多くのフィードバックを得ることができ、想像以上にアプリの完成度を高めることができました。
その理由はたくさんありますが、特に自身がプロダクトの想定ユーザーの条件にマッチしていたこと、ピクシブでは日常的にお絵かきを練習しているお絵かきブートキャンプという有志の活動があること、その中の少なくない人数が年末の大型イベントに向けて原稿作業に取り掛かっていたこと……などなど、ドッグフーディングに適した環境が揃っていたことが大きな成功要因です。
おかげで、チームの垣根を越えて良いフィードバックを得られ、ユーザーの皆さんとほぼ同じ目線でアプリのレビューを行うことができました。
inside.pixiv.blog

さて、いよいよプロジェクトも大詰めです。ここからは短いサイクルでレビューと改修を繰り返し、一気にプロダクトを完成形に近づけていきました。

リリース

f:id:pxvpxv:20200124123602g:plain こうした流れを経て、当初の予定を前倒しする形で12月9日にライブ配信機能が100%リリースされました!
おかげさまでたくさんのユーザーにご利用頂き、リリース前後でライブ配信数が2倍以上になるなど、大きな反響も頂くことができました。

初のpixiv Sketch公式ライブ配信

無事に機能をリリースし終えたものの、これまでにない新しい機能ということもあって、ユーザーからのお問い合わせの増加やトラブルの発生、使い方がわからないかもしれない……などの懸念がありました。
もちろん事前に設計したユーザーコミュニケーションでできる限りのフォローを考えていましたが、他にできることはないだろうかという話をしていたところ、チームメンバーから「公式アカウントでライブ配信のQ&A配信をすればいいのでは?」というアイデアが出てきました。
それだ! ということで15分後にテスト配信を実施、1時間で準備を行い、その日の夜に急きょ「LIVE配信お悩み相談室」というタイトルで公式LIVE配信を行いました。 f:id:pxvpxv:20200124123717j:plain これはSketchのPM(僕)がリリースされたばかりのライブ配信機能でお絵かきをしながら、チャットに寄せられたユーザーからのご意見やご質問にその場で答えるという企画で、なんとpixiv Sketch運営による初の単独ライブ配信でした。
この公式配信で頂いた要望や不具合報告はすぐにエンジニアと共有し、その日のうちに対応方針を決めました。優先順位の高い機能改修はすぐに手を入れ、3日後には最新版のアプリをユーザーに届けることができました。
ユーザーと直接対話するこの取り組みは当初突発的な企画でしたが、非常に良い手応えを得られたので、今後も続けていきたいと思っています。

ふりかえり

長々と書いてきましたが、リリースから1ヶ月経った今から振り返ってみても最高のチーム開発ができたと感じています。
リリース後にチームで実施した振り返りでも、

  • チーム全体で一緒にものづくりできたプロジェクトだった!
  • ビジネスサイドで最大効果が出るようなユーザーコミュニケーションをしてくれたので開発側は安心して開発だけに専念できた!
  • クリエイティブ制作と実装のスピード感が素晴らしかった!
  • 開発中にチームで食べたカニ鍋が最高に美味かった!
  • 自分の冬コミ原稿の〆切まで36時間を切ったけどライブ配信でがっつり進捗しようと思います!

などなどのポジティブな声が多数上がりました。
僕個人としても、ビジネスサイドのPMとして開発チームが最高のパフォーマンスを発揮しながら開発に専念できる環境を作ることができた素晴らしいプロジェクトだったと思います。あとチームみんなで食べたカニ鍋は本当においしかった……。

かにかに
開発中に突然催されたカニ鍋大会の様子

これから

2019年を最高のチーム開発で締めくくることができた一方で、pixiv Sketchで実現したいことはまだまだたくさんあります。
2020年もお絵かきをもっと楽しくする機能や企画をどんどん作っていきますので、今後のアップデートにもぜひご期待ください!

pixiv Sketch:https://sketch.pixiv.net/
pixiv Sketch iOSアプリ:https://itunes.apple.com/jp/app/pixiv-sketch/id991334925
pixiv Sketch Androidアプリ:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.pxv.android.sketch

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halcana
2018年ピクシブ株式会社に中途入社。日々のお絵かきをもっと楽しくするお絵かきコミュニケーションアプリ『pixiv Sketch』のプロダクトマネージャー。お絵かきと狐耳とツインテールが好き。