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pixiv小説の体験設計

小説チームのlewisです。PIXIV DEV MEETUPにて「pixiv小説の体験設計」というテーマで同じく小説チームのhonと一緒に登壇させていただきました。そのセッション内容についてご紹介いたします。

セッション概要

pixivでは2018年に「小説が好き」なメンバーが集まって小説チームが結成されました。 ユーザーコミュニティに寄り添った体験設計を積み重ね、pixiv小説の閲覧数、投稿者数は増加し続けています。イラストのイメージが強いpixivにおいて、どのように小説の存在感を高めていったかをご紹介します。

pixiv小説とは……?

累計投稿文字数 700億。 累計投稿作品数 1500万。 月間作品閲覧数 5億PV。

こちらが今のpixiv小説の数値です。(2021/05/14時点) このような華々しい数字に反して、pixivといえばイラストコミュニケーションサービス。 pixivにおける「小説」の存在感は未だ薄いと言えます。

しかし、ここ2〜3年で急速にpixiv小説の存在感が高まり、ジワジワとその認知が広まっています。

契機になったのは2018年のこと。 小説投稿機能のローンチからそれまで、小説に対する大きなアップデートは少なく、投稿数も伸び悩んでいました。

この事態に対処すべく、pixivに小説チームが組織されます。 ※小説チーム発足のお話はこちらの記事もご参照ください。

小説チームは、pixivの小説関連機能のメンテナンス、新規機能の開発、コンテストの企画や運営など「小説」に関するあらゆることを担当するチームです。

さて、当然のことながらゼロからのスタートではありません。 サービスは日夜稼働中。pixiv小説には既に多数の作品が投稿されていて、クリエイターがいて、ファンがいて、コミュニティがありました。

小説チームはサービスの将来性を考えるにあたり、改めて現状を俯瞰することからはじめました。

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PIXIV DEV MEETUP セッション資料

小説投稿サイトとしてみた時のpixivは、かなり特殊だと言えます。

オリジナル作品とファンフィクションが両方投稿されていること。小説以外にイラスト・マンガという作品があること。さらには、挿絵機能やイメージレスポンスによって異なる作品種別間でコラボすることができることなど。 どれか一つに的を絞ってもサービスとして成立しうる複数の要素が複雑に絡み合っていました。 これらの中からどの可能性を伸ばしていくべきなのか……それは大きな課題でした。

さらに「やらねばならないこと」もたくさんありました。 長い間手がつけられなかった小説機能全般に関わる「リファクタリング」、小説投稿サービスとして足りない機能を開発する「標準化」、オリジナル作品に関するガイドライン整備など……サービスを維持していくためには必要不可欠な課題が盛り沢山。

小説チームには何から手をつけるかを決めるための軸が必要でした。

小説チームが大事にしたこと

優先度を決める上で小説チームが大事にしたのは「ユーザーの信頼を得ること」でした。

専任チームがいなかったことで、2018年当時はpixiv小説に対する期待も低めで固定してしまっている状態でした。 今いるユーザーに継続して使い続けていただくにも、新しいユーザーを呼び込んでいくにしても、興味を持ってもらうことが必要と考えました。 そのため、ユーザーに価値ある機能を1ヶ月にひとつ出すことを目標に開発を進めていきました。

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PIXIV DEV MEETUP セッション資料

「小説投稿サービス」として足りていないところを埋めるところから始め、だんだんとpixiv小説の強みとなる機能開発へとシフトしていきました。「設定資料」以降、インパクトが強い新機能をリリースした際には、Twitterなどでお褒めの言葉をいただく機会も増えました。

このあたりの順番を間違えていれば、良い機能であっても反感のほうが大きくなっていたこともありえたと考えています。

ところで、このようにたくさんの機能をリリースしましたが、機能をたくさんリリースしても価値がユーザーに伝わらないと意味がありません

そこで、小説チームがやりたいことをユーザーに分かってもらうため、コンテストなどの企画にも力をいれています。

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執筆応援!ワンルームSSチャレンジ2

「コミック百合姫」編集部様と「百合文芸小説コンテスト」 あらゆる小説投稿サイトから百合の書き手が集い、2600作品以上集まるお祭りに。 受賞者の商業小説デビュー例も!

ジャンルごとに募集した「pixivノベル大賞」 リリースしたばかりのジャンル機能の普及に貢献!

バロンチェアが目玉賞品の「ワンルームSSチャレンジ」 クオリティの高い作品があつまり、「ワンルーム・ショートストーリー」書籍化!!

こういった企画はユーザーの反応や問い合わせがダイレクトに届く機会も多く、情報の発信ややり取りをする中で、我々への信頼や安心感を得てもらえるよう丁寧な運営を心掛けました。

特に反響を得ることができたのは、「コミック百合姫」編集部様と開催させていただいた「百合文芸小説コンテスト」です。

pixivで百合ジャンルの投稿数が一定数あったからこその企画でしたが、あらゆる投稿プラットフォームの百合の書き手が集うお祭りに発展させることができました。 歴代の受賞者には百合の商業作品デビューを飾った方もいらっしゃいます。

ゆるきゅんボーイズライフマンガ原作コンテスト、異世界転生・転移マンガ原作コンテストも複数回開催することができ、pixivでオリジナル小説を書いたユーザーが商業デビューする道筋になりました。

開発偏重、企画偏重とならず、どちらの担当も歩調を合わせてユーザーに向き合っているのが小説チームの強みとなっています。

そして、チーム発足から3年。全体の年間作品投稿数も2.2倍に伸長し、220万作品超が投稿されました。

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PIXIV DEV MEETUP セッション資料

「ユーザーの信頼を得ること」という方針が共有できているのは、小説チームのメンバーが何かしらの形で小説のコミュニティに属しているからこそできることかもしれません。 それぞれが知っている領域が異なり、質問をし合ってお互いに補い合いながら企画・開発・運営を進めています。

これからも「ユーザーの信頼を得ること」を大事にした運営を続けてまいります。

さて、pixiv小説では、小説がお好きな方、pixiv小説の体験をもっとよくできるアイディアをお持ちの方をいつでもお待ちしております。 サービスに関するご意見などございましたら、ぜひアンケートやフィードバックからお寄せください。

lewis
pixiv小説チームのプロダクトマネージャー。主に小説関連の機能開発に携わっています。投稿企画やコンテストの企画・運営もやります。