こんにちは、ピクシブで新規事業部に所属しています、ああうえ(@_kwzr_)と申します。所属している部署では2019年ごろからスクラム開発を導入しており、スクラムマスターをやっていた時期もあります。
今回は、バックログをClickUpからNotionに移行した理由や、Notionのでスクラム開発に適したバックログの作り方を紹介します。
今回の記事はカタカナがよく出てきます。苦手な方は逃げてください。
バックログをNotionにした理由
TL;DR
- Notionは同期性が良い!
- 今までのバックログ運用がNotionでもできそうだった
- 投票機能もNotionの機能を組み合わせればできた
今までの開発ではフロー情報の管理にesa、ストック情報の管理にNotion、タスク管理にClickUp、ホワイトボードツールにFigJamを利用しており、スクラム関連のイベントだけでも4つのツールを使う必要がありました。これをNotionとFigJamだけに絞ることでツールの習熟に掛かる負担を減らしたいと思いました。
フルリモートでのMTGは同期を取るのが難しいと感じています。それを解消するためには、ツールのリアルタイム性が重要だと思っています。Notionでは何かを編集をしたときにリロードせずにすばやく参加者に共有されます。
オンラインMTGでは参加者が常に集中できるわけではありません。オフィスで対面でやっていれば、一斉に休憩タイムを設けることができたかもしれませんが、宅配が来ていたり、猫ちゃんに呼ばれていたり、参加者に突発的に集中を阻害する事情が発生します。
ツールで困っていたこととしては、非同期的にMTGを進める上で投票機能を使いたいことが多々あり、色々なツールで試行錯誤していました。例えば、FigJamに投票用のウィジェットを配置して投票をしていました。
しかし、これは大変な面もありました。プランニングポーカーではFigJamにClickUpのタスクのリンクやスクショを載せたりして、投票対象を分かりやすくしていたのですが、会場の準備が大変です。なぜデジタルツールを使っているのに温かみのある手作業をしているのか…という感じです。
Notionにも投票機能はありませんが、機能を組み合わせることで投票機能を実現することができます。Notionの機能をフルに使うことで、今までClickUpでやっていたバックログ管理もほぼほぼ実現できそうだったため、Notion移行を決意しました。
Notionでのバックログ管理
スクラム開発のバックログには、プロダクトバックログとスプリントバックログがあり、プロダクトバックログは、プロダクトでやるべき優先順で並び替えられたタスクの一覧になっています。スプリントバックログは、1週間などのスプリント内でやるタスクが置かれたり、スプリントゴールが書かれているページです。
それぞれ見ていきます。
※以下、データベース・ページという言葉が出てきますが、それぞれNotionのデータベース・ページの意です
プロダクトバックログ
優先度順に並び替えることはプロダクトバックログにおいて重要です。データベースにPriorityのプロパティを作成して、優先度順に並べることができます。
プロダクトバックログアイテム(PBI)のページの中身を見ていきましょう。ページのテンプレートを使うことで、以下のように必ず書いて欲しい項目を列挙することができます。最近のアップデートでテンプレートをデフォルトで適用できるようになったのも便利です。
また、上でも書いたように、投票もNotion上で実現することができます。例えば、各PBIページに、SPを振る投票所を設置しています。
投票用のデータベースがどうなっているかというと、Personプロパティが隠れていて、個人作業用のタブにMeフィルターを掛けることで実現しています。簡単ですね。これはPBIのページにテンプレートとして置かれているので、毎回投票場所を作る必要もありません。
スプリントバックログ
スプリントバックログは、単にタスクのデータベースが置いてあるだけでなく、スプリントに関係のあるものがまとまっているページになっています。スプリントレビューやレトロスペクティブの議事録もこのページにまとめています。単なるデータベースでない利点としては、スクラムイベントのファシリテーション用のカンペなども置きやすいことです。カンペがあれば誰でもファシリテーションできて、チームの自己組織化が捗りますね。
また、スプリントゴールがプロパティに設定できるようになっていたり、算出されたSPの合計値が表示されるようになっています。
スプリントレビュー・レトロスペクティブには、スプリント期間中いつでも書き込みたいことを書けるようになっています。Slackから簡単に投稿できるbotも用意しています。詳しくはこちらの記事も参照してみてください。 inside.pixiv.blog
SPの合計値の算出には、Rollup機能を使ってスプリントに紐づいているPBIのSPを合計しています。
スプリントプランニングでは、まずゴールを決め、ゴールに関係するPBIを選びます。PBIとスプリントのページにRelationを設定し、そのスプリントで取り組むPBIがスプリントのページに表示されます。
また、PBIのページ内にはサブタスクのデータベースがあり、スプリントに紐づいているすべてのPBIのサブタスクが自動的にボードに表示されるようになっています。
PBIのサブタスクはPBIのページ内にデータベースがあるのではなく、全てのサブタスク共通のデータベースがあります。ここで一手間なんですが、サブタスクとPBIにはRelationが貼ってあり、PBIとスプリントのRelationが貼ってある場合はRollupを使ってサブタスクとスプリントを紐づけてあげます。
このようにすると、スプリントバックログ側のデータベースでフィルターを掛けるだけで、「そのスプリントで取り掛かるPBIのサブタスク」を一覧表示することができます。難しいけど、仕組みを作れたら便利ですね。
できなかったこと
バーンダウンチャートはスプリントが健康に進んでいるかを検査するために便利なツールですが、現状Notionの基本機能だけではバーンダウンチャートを描画できないと思います。
一旦スクラムマスターには不便を掛ける感じになってしまいますが、Notion移行はツールを減らしてチームの認知的負荷を下げるという面でメリットが大きかったため、この問題は後々解消していこうと思います。
まとめ
スクラムに特化したツール(JiraやClickUpなど)を使うのも良いですが、微妙にチームに馴染まないケースもあると思います。Notionはデータベース機能が充実しており、チームに合った小さいサービスのようなものを簡単に作れるのがとても良いと思いました。Notion最高便利。使っていきましょう。