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Ruby Association事務局長インタビュー!企業協賛金はRubyの発展にどう貢献する?

FANBOX Sectionの丸山(alitaso)です。

ピクシブは2025年度もRubyアソシエーションのPlatinumスポンサーとして協賛を継続いたします。

Ruby Associationとは
Ruby Associationは、プログラミング言語Rubyの普及と発展のための非営利団体です。Ruby関連のプロジェクトやコミュニティ、ビジネスの関係を強化し、Rubyの利用に関する諸問題の解決に取り組んでいます。
www.ruby.or.jp

皆さんは、Ruby Associationの協賛金がどのように活用されているかご存知でしょうか?

Rubyの開発において協賛企業がどのような役割を果たしているのか、Ruby Association事務局長の前田様にお話しを伺いました!

協賛金の使途について

本日はよろしくお願いします!
早速ですが、協賛金の活用について教えてください。

財団の協賛金は、主に以下の4つの活動に使われています。

  • 安定版保守
  • 開発助成金
  • 開発サーバー支援
  • イベント開催

Ruby安定版保守は、ユーザーが安心してRubyを利用できるようにRuby安定版に対して保守業務を実施するものです。現在はフルタイムコミッタやボランティアの方にメンテナンスいただいており、安定版保守委託事業は休止していますが、今後必要に応じて委託の再開を検討します。

開発助成金は2011年度から行っている制度で、毎年5件ほどのプロジェクトに1件あたり50万円の助成金を交付しています。Ruby本体の改善や、Ruby周辺のライブラリー拡充などが主な開発内容です。応募プロジェクトの中から基準に達するものを採択して開発を進めていただき、成果報告を経て助成金をお支払いしています。

イベント開催にも協賛金を活用しています。例えば「RubyWorld Conference」のような主要イベントのほか、Rubyビジネスセミナーやオンラインイベントも開催しており、そうした場面でも協賛金を活用しています。

ライターに依頼して、Ruby活用事例のインタビュー記事をWEBサイトに掲載する広報活動にも取り組んでいます。 www.ruby.or.jp

また、協賛金とは直接関係ない部分にはなりますが、Ruby技術者認定試験や事業者認定制度なども活動として行っています。詳しい活動内容は、公式サイトにも掲載しているのでぜひご覧ください。 www.ruby.or.jp

Rubyの開発以外にも、様々な活動をされているのですね。

財団を立ち上げた当初は、Rubyの採用について不安の声をいただくこともありました。そうした不安を払拭してRubyを使ってもらうために、開発以外の活動も行うようになった経緯があります。例えば技術者認定試験を設けたり、Ruby活用事例をサイトなどに掲載するなど、信頼の醸成に繋がる取り組みや広報活動を行ってきました。

協賛金が最も効果的に活用されていると感じる分野はどこですか?

やはり、開発そのものに直接反映される分野が、とくに効果を感じやすいです。 例えば開発助成金によるプロジェクト採択がわかりやすいですね。最近の実績ですと、Namespace開発や、socketライブラリへのHappy Eyeballs Version 2 (RFC8305)導入があげられます。開発助成金の取り組みによって、新たな開発が行われるきっかけになっていると実感しています。

今後の展望として、これから協賛金を活用して実現したいことはありますか?

安定版の保守が休止中ということもあり、Ruby自体の開発に対する支援が少し手薄になっている部分があります。助成金以外にもRubyの開発自体に直接成果が還元できるような形での支援を強化できればと、方法を模索している段階です。

Rubyのコア開発について

コア開発は、どのような体制で行われていますか?

現在、コミットできる人は全体で約70名ほどです。Ruby開発者であるまつもと氏が言語全体の方向性を決定しており、決定された方向性に沿って開発が進められています。

安定版に関しては、ある程度独立権限を持っているブランチメンテナーと呼ばれる方がおり、バージョンによって担当を分担しています。それ以外では、ライブラリーごとにメンテナーが決まっていますが、言語のコア部分は役割分担が明確にあるわけではありません。 開発の方向性については、毎月開催される開発者会議で方針が決まることが多いですね。

どのような場面で費用を使っていますか?

Rubyの開発に使用するクラウドサービスをRuby Associationで負担しています。例えば、開発者のコミュニケーションに利用しているSlack、メーリングリストの利用料などがあげられます。クラウドサービス以外ですと、安定版保守委託費用や、カンファレンスに合わせて開催している開発合宿の旅費などを負担しています。

開発合宿の様子 www.ruby.or.jp

開発に関して、何か検討されていることがあれば教えてください。

協賛金の活用について、安定版保守が現在休止中ということもあり、これに替わる変わる開発支援が何かできないかと考えています。例えば、脆弱性対応の開発者への支援などができるとよいなと個人的には感じています。

協賛企業について

RubyAssociation にとっての協賛企業とはどのような存在ですか?

Ruby普及発展のための活動をする上で、協賛企業は大変心強い存在です。Rubyが普及発展し、今後も長く使われていくためのサポートをしていただいているという側面が大きく、非常にありがたく感じています。

協賛金以外に、協賛企業から得られるメリットと感じる点はありますか?

WEBサイトでの協賛企業のロゴの表示や活用事例紹介によって、たくさんの企業にRubyをサポートいただいていることが利用者の方にも見えるようになっています。これによって、利用者の方にとっての安心感に繋がっていると思っています。

協賛企業が増えると、Rubyの開発やコミュニティにどのような良い影響がありますか?

開発資金のサポートや、インフラの整備がよりしやすくなると思っています。例えば、現在安定版保守委託事業が休止中でボランティアベースになっていますが、事情により開発が止まってしまった際などもRuby Associationを通してサポートできるようになると考えています。

さいごに

協賛企業や協賛を検討している企業に対して、メッセージがあればお願いします。

Rubyが発展するために、協賛企業の皆さんに支えていただいています。今後もRubyの開発が長く続き、皆さんにより多く使っていただけるように力を貸していただければありがたいと思っております。

前田様、ありがとうございました!



ピクシブでは、多くのプロダクトでRubyを採用して事業を展開しています。これまでRubyやRubyコミュニティから受けてきた恩恵を、今後も少しでも還元していければと思います。

ピクシブはこれからもRubyコミュニティと共に歩んでまいります。この記事を読んでRubyの取り組みや協賛に興味を持たれた方は、ぜひ一緒にRubyを盛り上げていきましょう!

www.ruby.or.jp

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alitaso
2018年4月入社。Ruby/Railsを使ってpixivコミックの開発に携わっています。好きな野球グラブはウイルソン A2000 1786型 です。