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新卒社員がpixiv運営本部本部長に聞く!プロダクトづくりにおいて大切な3つのこと

こんにちは!2018年新卒入社のenaです。

ピクシブの新卒社員は、入社後1ヶ月程度の研修を受けます。 研修内容は、基本的なビジネスマナーや仕事に向き合う際の心構え、各チームの業務内容など、多岐にわたります。さらに今年は、一人ひとりが考える課題を解決するプロダクトを1週間で実際に作るという「プロダクト作り研修」も行われました!

今回は、そんな研修の中でもぼくが特に面白い!と思った先輩社員norioさんに、詳しくお話しを聞いていきたいと思います。

本日はよろしくお願いします!まず、自己紹介からお願いします。

norio: pixiv運営本部本部長と、新技術プロジェクトのプロデューサーをやっているnorioです。 今までは新規サービスの立ち上げを主にやってきていて、BOOTH、pixivFACTORY、pixiv Sketch、Pawoo、最近ではpixiv Sketch LIVEに携わりました。 バックグラウンドがエンジニア兼デザイナーなので、技術的側面やUI・UX的側面からもサービスのことを考えながら作って、リリースしてきました。もちろん、リリース後の運用もやっています。

エンジニア兼デザイナーというバックグラウンドがあるんですね。これまでの経歴について詳しく教えてください!

norio: もともと僕は2011年1月にUIデザイナーとしてピクシブに入社しました。 ただ、当時ピクシブとは別の個人的に作っていたサービスがあって。 それを「ピクシブからリリースしていいですか?」って当時の社長に聞いたら、「やろう!」と言ってくれたので、入社初期はそのサービスのリリースと運用をやっていました。

その頃から、ずっとイチからサービスを作ることをやってきたんですね。

norio: そうですね。

さらに遡って、学生の頃は何をされていたんでしょうか?

norio: 学生時代は、映像監督になってMV(ミュージックビデオ)を作るのが夢だったので、映像の勉強をしていました。 あとは3Dの勉強をしたり、当時はVJ(ビデオジョッキー)が流行っていたのでクラブに行ってVJをやったりしていましたね。

新卒ではどんな会社に?

norio: 当時日本で一番たくさんMVを作っていた制作会社に入社しました。音楽専門チャンネルを運営する会社の子会社です。 当時はウェブデザイナーの枠でしか採用していなかったのでウェブデザイナーとして入社したんですが、「あれ、映像よりウェブの方が面白いんじゃない?」って思って、結局それからずっとウェブをやっています。

そうだったんですね。norioさんのバックグラウンドについて詳しく知ることができました!

さて、新卒研修でnorioさんは、「プロダクトづくりにおいて大切なこと」についてお話をしてくださいました。今回はその中で挙がったポイントを、僕なりに3つまとめてきました。

  1. なにか問題に気づいたら事あるごとに周囲に話してみんなの気持ちを高めていくこと
  2. 理想を掲げること
  3. アイディアを実現可能なものに落とし込み、周囲を巻き込んでいくこと

このそれぞれのポイントについて、今日はあらためて詳しくお聞きしていきたいと思います。まず、1つ目について、最近norioさんがもっている問題意識にはどんなものがありますか?

norio: 最近考えているのは、AR・VRに関してです。 僕は今後3〜4年の間には、AR・VRの本格的な時代がくると思っています。 Google、Apple、Microsoft、Facebookなど、海外の大きい企業がAR・VRに多額の投資をし、実際にプロダクトができてきているからです。 だから半強制的にそういう時代がくるはずですし、僕自身そうなってほしいとも思っています。

norio: ただ、そういう3次元空間を扱うデバイスが流行ってきた時に、ピクシブは何をやっていくのか?という問題が出てきます。今の延長線上で、ただ単に、2次元のイラストを3次元空間に並べてギャラリーを作りましたっていうだけじゃちょっと物足りない。3次元的なコンテンツをユーザーさんが楽しめるような環境を作っていく必要がある。現状僕らはここにコミットしてきていないわけで、そこに危機意識を持っています。

おお、3Dですね。

norio: また、すでにバーチャルYouTuberのようなコンテンツは流行ってきていますし、多くのクリエイターも3Dコンテンツを作ることに興味を抱いています。でも、実際には3Dの技術には新しい知識が必要になるわけで、そのハードルはけっこう高いものです。そこに課題意識を抱いています。

norio: だったら、そこのギャップを僕らが何かしら埋めてあげれば、もっと3Dのクリエイティブに挑戦できる世界を作っていけるんじゃないか、やるべきなんじゃないかと思っているところです。

その問題についてはいつ頃から考え始めたんですか?

norio: 去年(2017年)の10月頃からです。 それこそ、pixiv Sketch LIVEの開発が超忙しくて、もう佳境の頃。 当時、撮った顔写真を立体にしてアニメーションをつけられるアプリが話題になってたんです。それで、数年前にpixivFACTORYをつくる時に行ったユーザーインタビューでの話を思い出して。作家さんへの質問の一つとして「魔法が使えるとしたら、何がしたいですか?」って聞いていたんですが、「自分の描いたキャラクターが立体になって動き出したら嬉しいですね」って言ってる方が何人かいたんですよね。 それを思い出して、やっぱり3Dでそういうことやるべきなんじゃないか!?って思うようになりました。

むかし抱いた課題意識と新しくインプットした知識が結びついて、新しいアイディアが生まれてきたんですね。

norio: そういうことは結構ありますね。

norio: 僕が「このサービス、イケるぞ」って思う時っていうのは、複数個の問題を一気に解決できるアイディアを思いついた時なんです。 それって、いろんな問題を日々感じていて、もっとこんな風になっていたらいいのにっていうことを常に考えているという土台があるから生まれるわけなんですが、こういうパターンはやっぱり多いなと感じます。

そもそも何らかの課題に気づくとか、そのストックをたくさん持っているというのが、多くの人にとっては難しいところなのかと思うんですよね。どうやったらできるようになりますか!?

norio: うーん。「これが問題だ!」から解決策を考えるっていうよりも、「なんでこうじゃないんだろう?」とか「こうだったらもっと良いのに!」って思うことの方が多いのかも。「2Dで描いて勝手に3Dになってくれたら最高じゃん!」とか。

だんだん2つ目のポイント「理想を掲げる」の話に入ってきましたね。僕なんかは、「2Dで描いたら2Dのまま。普通じゃん?」で思考が止まってしまいそうですが、その一歩先の理想を思い描くには、どんな風に考えればいいのでしょうか?

norio: ぼくは、常に理想みたいなものを考え続けているんですよね。「こうだったらいいよな〜」っていうもの。何か面白いものを見つけて、「もっとこうできるんじゃないか?」みたいな。あとは、何かをやっていて行き詰まったときに、「もっとこういうものがあれば簡単にできるのに」って思ったり。

なるほど。何か課題を見つけて掘り下げていくっていう意識よりも、「こうあったら嬉しい」を想像をするということなんですね!

norio: そうそう。理想が先にあって、でも現実はそうではない、じゃあどこに問題があるんだろう?理想の実現を阻害しているものって何なんだろう?っていう風に考えるほうが多いのかもしれない。そうすると、「この技術的課題がクリアできればいいのか!」と見えてきたりする。

そういえば、研修のときにnorioさんは「人生の9割の時間、サービスのこと考えてる」と言っていました。その考え続けるモチベーションって、どこから湧いてくるんでしょうか?

norio: 僕は小学生くらいまで漫画家になりたいと思ってたんです。漫画家を目指している人に「なんで漫画家になりたいんですか?」って聞いても答えられないですよね。それと同じで。 純粋に、理想の世界を作って、それで人が楽しんでくれる、そういうことがしたいんだと思う。 「考えてる」っていうのは、「理想の世界を創造する」ってことを考えてるんです。それをみて、楽しいとか感動して泣いちゃうとか、そういうフィードバックがもらいたくて、考え続けているんですよね。僕は自分の今の仕事はある意味、「創作」だと思います。

ピクシブの理念は「創作活動がもっと楽しくなる場所をつくる」ですが、その仕事自体も創作活動であると。

norio: 漫画とかイラストとかゲームとか色んな創作活動があるけれど、僕の仕事も同じようなものだという感覚です。

一方で現実として、プロダクトづくりが好きな人が集まっているピクシブでも、チームの全員が9割の時間サービスのことを考えている訳ではないとは思うんです。norioさんのようにビジョンを掲げる人がいたとして、他のメンバーっていうのは、どのくらいまで同じ視野を持っているべきなんでしょうか?

norio: もちろん、できるだけ同じ視野を持ってもらって、僕のビジョンに共感はしてほしいとは思います。共感できないんだったら、ツッコミを入れて欲しい。実際、「なんでそんな仕様にしたの?」みたいな指摘はあるけれど、そこはしっかり説明をして、意見を擦り合わせていきます。 一方で、僕としても自分のビジョンについてしっかり伝える努力はしないといけません。それはPM(プロダクトマネージャー)としての責任ですよね。逆に、ビジョンが見えません、共感できていませんっていう人がチームにいるのは、PMの問題だと思います。

メンバーがビジョンに共感してくれるくらい、PMは説明をしていかなきゃいけないということなんですね。

norio: そうです。

続いて、3つ目のポイントである「アイディアを実現可能なものに落とし込み、周囲を巻き込んでいく」という点についてお聞きしたいと思います。今の技術でどこまでできるのかとか、実際に開発してくれる人をどうやって巻き込むのかって、これまた難しいポイントですよね。

norio: 現実への落とし込みっていうのは、色んなことを考える必要がありますよね。大きなところだと技術、人的リソース、時間。そこに関しては、PMは強く意識して仕事しなければいけません。 特に僕は技術に関しては、常に最新技術は追っているし、かなり時間を費やしています。

1日のうち、何時間くらいそういうインプットに時間を費やしているんですか?

norio: それこそ、ちょっとした休憩とかに常に見ている感じです。SNSとか、技術ブログとか。 「これってこの最新技術使えばできるんじゃん!」って気づけると、理想から現実への落とし込み方が変わってきますからね。

「忙しくて情報収集をする時間がありません」という人は多いですが、norioさんはスキマ時間があればすぐにチェックするような感じなんですね。

norio: まあ正直、僕はそういうのが好きだっていうのもありますけどね。新しい情報が好きっていうんじゃなくて、可能性を広げてくれるっていう意味で好き。 あとは、現実は理想に近ければ近いほど良いんですよ。この技術を知っていればもう一段階理想に近づけたかもしれないのに、それを知らなかった、だから遠回りなことをやっていたということがあり得る。「知らない」ということで損している可能性がある。

特に今norioさんが取り組まれている3Dの領域は、理想と現実のギャップを埋めるのに技術の力がとても重要になってきそうです。

norio: そうですね。2次元から3次元のコンテンツを生成するといったことはそう簡単ではありません。もちろん最新の機械学習、ディープラーニングによる研究で可能になりつつはありますし、僕もそういう論文は読んでいますが、実際にユーザーが求めるクオリティにするにはかなりの時間がかかります。 「現実に落とし込む」上では、時間という制限も意識しなければなりません。何年もかかっていたら、AR・VRの時代がとっくに来ていて、間に合いませんでしたということになってしまうんですよね。 そういう時はまた違う方法を探して、実現可能なものをしていくということをやっています。

なるほど。

norio: あと大事なことは、いま世の中にない技術でも、どうしてもサービスの実現には不可欠なものもあるんですよ。そこの切り分けもかなり意識しています。

どこまで既存の技術を活用して、どこからは自分たちで作るか、ということですね。

norio: そうそう。 pixiv Sketch LIVEの例を挙げると、ライブ動画の配信には、WebRTCとHLSという技術があります。 僕らは、WebRTCを使って、ブラウザで複数のクリエイターが同時に配信ができる、しかも配信者同士の映像にはラグが出ないような仕組みを作ろうとしていました。本当に一緒にお絵かきをしているような世界ですね。それ自体はよかったのですが、その動画をたくさんの人に配信しようとしたときに、WebRTCは大人数への配信には向いていないということが問題になって。そこには多少ラグがあってもよいので、大多数への配信に耐えうるHLSを使う必要が出てきました。 つまり、両方を実現するためには、配信者同士にはWebRTC、そのほかのユーザーへの配信にはHLSを使うことになります。そのWebRTCからHLSにつなぐ部分は、僕らでやるしかなく、新しく開発しました。

norio: このケースだと、WebRTCやHLSという枠組みは既存技術を利用し、そのつなぎ込みだけは自分たちで作ろうという判断をしたわけです。 もしこの時、WebRTCやHLSを知らなかったら、自分たちで独自の配信技術まで作ることになり、ユーザーにサービスを届けるまでに膨大な時間とコストがかかることになりましたよね。

だから、最新の技術を知っておくということが重要なんですね。

norio: そうですね。

ところでもう一つ、周囲を巻き込むことに関しては、norioさんは「なぜ今やるのか?」を強調することが大事だとも言っていましたね。

norio: それも大事な点です。 pixiv Sketch LIVEに関しても、従来からクリエイターが物を生み出す過程を見ることができたら面白いよね、感動するよねって話はあったのですが、それを実際に実現することはできずにいました。 でも、最近になってようやく個人がライブ配信をすることが当たり前になってきました。その土壌ができた今なら、クリエイターのライブ配信サービスを実現できるし、創作をより進化させられると思い、そう訴えて実現にも至りました。

norio: 無理やり「今やらなきゃいけない理由」を探すわけじゃないですよ。 日頃から情報に触れて世の中がどうなっているのかを理解することで、昔から抱いていた課題が自然と「これは今やらなきゃいけない」に変わっていくんです。それをしっかり周囲に説明していくということですね。

それでは最後に、norioさんが今後やっていきたいことについて聞かせてください!

norio: 最近はやっぱり、3D事業をしっかりやっていきたいと思っていますね。

norio: それからもちろん、pixivもより時代にあったものに進化させて、クリエイターにとってもユーザーにとってもより良いものにしていきます。 世界中のより多くのクリエイターをサポートできるようになっていきたいですね。 あと、コンテンツを「楽しみたい」と思っている側のユーザーも世界中にまだまだ潜在的にいるはずです。 しかし、現状ではまだまだそういった人たちに充分にpixivを届けられていませんし、そういう人たちがpixivを訪れたときにちゃんと楽しめる環境を整えておきたいです。

norio: 「pixivが世界の創作の中心地になる!」くらいのでかい夢を持ってやっていきたいと思います。

norioさん、どうもありがとうございました!

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ena
1994年生まれ。福島県出身。早稲田大学商学部在学中、ドイツの大学への交換留学を経て、2017年5月よりピクシブ株式会社のBOOTHチームにて内定者としてアルバイト、同年10月に入社。現在はpixiv PAYのディレクターとして、プロダクトづくりに励んでいます!