ピクシブ主催のWebディレクター向けイベント「DIRECTORs' SCRAMBLE」の第2回が、2017年7月20日、代々木のピクシブオフィスで開催されました。
ピクシブ株式会社、ヤフー株式会社、株式会社マッチングエージェント(※ 発表順)のディレクターのLTを前編にてお届けしましたが、後半ではパネルディスカッション「あなたの悩みも解決する…かも? ディレクターお悩み100本ノック!」の内容をご紹介します。
事前に参加者からディレクション業務に関するお悩みを聞いたところ、120個以上のお悩みが集まりました。
▲実際に集めたディレクション業務のお悩みリスト。集まった120個以上のお悩みはこちらのスプレッドシートにまとめています。
今回は、同イベントに登壇したヤフー株式会社善積さん、株式会社マッチングエージェント新居さん、ピクシブ株式会社高橋に集まった質問に対して答えていただきました。 (※さすがに120個すべてに答えていただくのは難しかったので一部の質問に答えていただいています!)
それではスタート!
【ディレクターがエンジニアに対して期待していることや、困っていることを知りたい】
高橋:エンジニアが一番そのサービスに触れているので、単に開発するだけでなく、ディレクターの気づけない改善・改良点を指摘してもらえるととても助かります。また、特定条件のみで起こるエラーや開発の拡張性などについては、プロダクトを触っていても気づけない部分なので、開発時に気をかけてもらえるとありがたいです。
新居:率直にコミュニケーションをとること。デスクワークの時間が大半を締めるので、今取り組んでいる案件に対してどういう思いでいるかなど、常にざっくばらんに話せる関係性コンディションがいいなと。
善積:コードを書くこと・実装することが目的になっていないかは気になります。チームが実現したいことに対して技術的な発想でアイデアを提案してくれることに期待してます。
【自社は開発陣が仕様決めから数値検証まで行っているが、他社はディレクターと開発陣が行う仕事の線引きはどうやっている?】
高橋:究極、良いプロダクトが出せるならどういう割り振りでも構わないと思います。 もしディレクター側の仕事が少ない・薄いと感じるのであれば、ディレクター側の力をどうプロダクトに活かせるかを考えて、それを追加でこなせばいい。
新居:その時のチームメンバーのタイプによって線の引き方を変えます。どういう引き方をするか、ディレクター目線で言えば、健全にアウトプットをし続けるためにやるべきことをやる。
善積:チームとしてベストパフォーマンスを出せるのであれば、役割はエンジニアがやってもディレクターがやってもいいのでは。
【社内にディレクターが少ないので、みなさんがどのような仕事の進め方をされているのか知りたい】
高橋:うちはチームメンバーが少ないので、アジャイルに近い回し方が多いです。最近スクラムの手法を取り入れつつあります。
新居:開発をともにするメンバーがしっくりくる方法を都度模索しながら、チームでルールを決めて進めるようにしています。だいたいアジャイルに近い形か、カンバンかそれに近い形でこなしていく感じが多いかなと思います。
善積:スモールチームだとスクラム組んでアジャイルで回していたり、カンバンでタスク管理(ツールでディレクション減らす)、大きいチームはスモールチームに分解するけど、全体を俯瞰してどれくらいの粒度を共有するかは難しいとこ(粒が小さいとまわらん)
【コードがかけないディレクターがエンジニアとうまくコミュニケーションをとる方法を知りたい】
高橋:エンジニア側への理解があるほうが、やはり円滑にコミュニケーションはできるかなと。弊社だと、チーム内のエンジニアがディレクターに開発を教えてあげる、エンジニアトレーニングという文化があります。
新居:コードがかけなくてもどのような技術を採用しているのか、基本的な概念などはインプットしたほうが良いかなと思います。あとは技術領域の理解が甘いことを正直に伝えて、学ぶ姿勢もセットで伝えると互いに歩み寄れる気がする。
善積:むしろコードのことを気にしなくていいのでは(コードのことまで考えると現実的になりすぎちゃうので)
【今後ディレクターとして成長していく上で得るべき経験や知識について教えてほしい】
高橋:善積さんと被りますが、様々な案件を回す経験が一番だと思うので、それを任され続けるように、アウトプットをちゃんと作っていくことでしょうか。
新居:技術情報含めたトレンドまわりの基本的なインプットを行ったほうがいいかなと思います。ディレクターとしてはとにかく自分が携わる開発案件のアウトプットを積み上げていく。その度に次回何をすべきか必ず振り返る。
善積:挑戦することと失敗すること(なんの仕事にもいえるけど)。最近はアプリ市場も下火になりつつあるので、スマホの画面の中だけではなく、スマホの外で何が起こっているかに目を向けてみてもいいかも。
【常に新しいトレンドをキャッチしたいが、なかなか時間が取れない】
高橋:トレンドをキャッチしている人と仲良くする。
新居:ツールを駆使して効率よくインプットするのが得意な人がいると思うのですが、そういう人に聞いてみるといいと思います。自分もインプットどうしてる?をテーマにランチしたりしました。
善積:習慣にすること。毎週月曜の朝とか、水曜のランチとかはそういう時間にするとか。
【自分が何でも屋で「これがスキルだ!」とわかりやすいものがつくれていない】
高橋:これは難しい問題……もし可能なら、チーム内でどういうところで自分の力が活きているかを聞いてみて、得意分野を伸ばしていくのはどうでしょう?
新居:コードが書ける、UI/UXが設計できる、みたいなスキルはディレクターの付加価値になると思いますが、この人がディレクションすれば安心して開発任せられる、みたいな実績を重ねていくことそのものが価値になっていくのかなと思っています。ちょっとスキルとは違ってきますが……
善積:つくるものじゃなくて結果できるものなのかなーと。背伸びしてもギリ届かないようなところをいろいろ探してみては?
【エンジニアですが、ディレクターやデザイナーとの咀嚼をうまく調整できない事がたまにある】
新居:一人で解決できない気がします。イメージ通りか、一緒に擦り合わせながら仕上げていくのがいいのかなと思いました。
【業務について、実際にやってみてのトライアンドエラーでしかなく、知識やノウハウの共有が難しい】
高橋:ディレクターの仕事はスキルとよく言われますが、具体的な動き方は人それぞれという印象が高いので、ある程度のトライアンドエラーは仕方ないとは思います。使用ツールなどをある程度社内で統一することで、エラーの部分を減らすことは可能かなと思うので、社内でのディレクションのフォーマットを作るのがよいかと。
【メンバーの持っているスキルを最大限引き出せているか不安】
高橋:月並みですが、定期的にヒアリングして確認するのがいいかなと。
【自社内にディレクターが少ないため、ディレクションの参考になる機会が少ない】
新居:弊社も割と同じような状況にあるので、横軸組織をつくりました。そこでの取り組みの一環で、ディレクター同士で互いの業務について共有する場を設けたりしました。
【デザイナーさんに120%のデザイン力を発揮してもらえるワイヤーの書き方がわからない】
新居:ベテランに対してはワイヤーを作らないってこともありました。例えばページ制作であれば、目的や必須要素を伝え、極力デザイナーが動ける余白を多く作ってみる、などやったりしたこともあります。
【UIUX観点でのスキル不足】
善積:いろんなプロダクト触りましょう。国内も海外も。
【バグとリリースの優先度の決め方】
高橋:ほとんどの場合、バグの修正。ユーザーに全く影響がないなら、リリース後に直すパターンもなくはないです。
善積:建前のためにリリース守るくらいならバグを直そう。(誰のために作っているプロダクトなのか考えよう)
【開発タスクのスケジュール管理が難しい。※見積もりスケジュールよりも遅れるケースが多い】
高橋:3倍見積もりなど、エンジニア側の技術として正確な見積もりをするための手法が開発されているので、そのあたりの書籍を読むのが一番早いと思います。
【エンジニアの引くスケジュールが、よく後ろ倒しになる】
新居:スケジューリングする際に考慮できていない作業工数があるか、仕様変更が生じたか、原因は開発案件ごとに必ずどこかにあると思います。なのでリリース後に振り返りを行い、次に生かすというサイクルで精度を上げられるよう取り組んでいます。
【企画の結果数字が上がらなかったときにチームに何と言って報告すればいいのかわからない】
高橋:知見も得られなかった、ということはないと思うので、結果は素直に伝えたうえで、こういう得るものがあったから次はこうしよう、みたいに未来の話をするのがいいかな
【クライアントが気分でコロコロ言うことを変える時の、制御の仕方に困っている】
高橋:何を作りたいかではなく、何をなし得たいかを把握するのが一番だと思います。
【寡黙な方へのヒアリング方法を教えて欲しいい】
新居:持ち物とか、食べ物とか、ちょっとした話題を積み重ねて、いつでも会話できる状況を作っておく
【古い開発フロー(仕様書などを書かない、テストコードを書かない)が普通と考えている上司に必要性をどう理解してもらうか】
高橋:小さいプロダクトで導入してみて、実際に円滑・効率的に進んだ事例を作っていくのがいいかと思います。
【テンションが低いエンジニアとの温度差に悩んでいるがテンションを合わせたほうがいいか】
善積:テンション合わせる必要はないけど、喜びどころは合わせておくといいのではないでしょうか。
【複数人いるデザイナー同士がぶつかることがあり、その後のケアに時間が割かれることがある】
高橋:チームのメンバー同士がなぜぶつかるかを把握して、根本を解決するのがいいかなと。
【チーム全体のコミュニケーションがうまくいかず、振り返りなどで手戻りが多く発生する】
高橋:場所を特定して、開発フローを改善するのがいいと思います。
【サービス開発経験のほとんど無い経営陣とのコミュニケーション】
高橋:経営レイヤーと現場では視点が違うので、いかに現場側の問題を経営レイヤーの視点で知りたい情報に転化するかだと思います。
【業務が多岐にわたるので、頭を切り替えて作業するのが大変】
高橋:カレンダーなりで、特定タスクに割くための時間を区切ってしまうのがいいのではないでしょうか。
【業務効率を上げるため色々なツールを導入、検討しているが、なかなか良いものが見つからない】
高橋:チームごとにあうツールは違うので、試してみるしかないと思います。 使ってプロジェクトを回して見ないと、わからないことが多いので。
新居:永遠にこのループですねぇ……。一人で決められるものではないですしね……。新しいツールに敏感なメンバーがチームに大体一人はいると思うのですがそういった人と相談してみるといいのかも?
【回遊率を上げるUI改善】
新居:トライアンドエラーを繰り返してベストを探り続ける他ない気がします。トライアンドエラーを効率よく継続できる環境作りなどから検討してもいいかも。
第3回も開催予定です!
ピクシブ主催のディレクター向けイベント「DIRECTORs' SCRAMBLE vol.2」はいかがでしたか?
ディレクター向けイベントというのは、エンジニア向けに比べると数は少ないので、とても貴重な機会だったように思えます。 もちろん第3回も開催します!次回は、9−10月頃に開催する予定です。なかなか明かされない現場での知見を得られますので、ぜひお気軽にご参加ください。
今回のイベントでは、キリンビール株式会社さんのご協賛で「グランドキリン」をいただきました。イベント終了後の懇親会ではすぐ無くなってしまう人気ぶり。懇親会では、迷える多くのWebディレクターたちが尽きない日々の悩みやディレクション業務の知見を共有し、とても有意義な時間が流れていました。 協賛や本イベントに関するお問い合わせはピクシブ阿部までご連絡ください!
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