ラスベガスで開催されたAWS re:Invent 2022 にピクシブのメンバー5名で参加してきました!本日はその模様をご紹介させていただきます。
興味深かったセッション
Jams
yoshimin: 4人でチームを組み、AWSに関してのトラブルシューティングなどを一緒に行なっていくセッションです。問題はWorkshopなどに比べるとなかなか難しく、英語の読解力も要求されて苦戦してしまったので、次挑戦できる機会があればもっとできるようになりたいです。
kiridaruma: 自分も参加しましたが、問題が主にML/AI系というのもあり苦戦しました。また、普段やったことのない分野というのを差し引いても、触ったことのないサービスがほとんどで大変でしたがいい経験になりました。次回も参加できるのであれば、絶対参加したいと思います。
Enhancing OS and application security on AWS Graviton–based instances
kiridaruma: 2021年からプレビューとして利用できるGraviton3ベースのインスタンスでは、新たに開発されたCPUによって「ポインタに対する署名」ができ、それに関してのセッションでした。バッファオーバーフローなどによってメモリが破壊されることにより起こりえる問題に対する対策として組み込まれた機能で、マシンコード上でどのような命令があり、どのように動作するのかなどを学ぶことが出来ました。
Webサービスでは普段関わることはない分野ですが、インフラエンジニアとしてミドルウェアなどの脆弱性対策にも関わるため、非常にためになり面白かったです。
Run and manage Amazon EKS clusters on premises
kiridaruma: オンプレミス環境上でEKSを動かす各種サービスやソリューションに関するセッションでした。
もともとAWS OutpostsというサービスでAWS製のハードウェアとラックを自社DCに置き、その上でEKSを動作させる方法は知っていましたが、今回は特にAmazon EKS Anywhereという自社管理のハードウェア上にEKSをデプロイできるサービスに関して聞くことが出来ました。
プレビュー版ということもあり即時の導入は難しいですが、今後のインフラの構成の選択肢として考えられる択が増えました。
Set up adaptable, elastic, and efficient compute for ML
kiridaruma: ML関連の大量のデータとコンピュートリソースが必要なワークロードについて、どのように実用的で柔軟かつ効率的な構成を組むかというセッションでした。
セッションの中ではスポットインスタンスやEKS、Amazon SageMakerなどに触れつつ、ケースに応じてどのサービスを利用すべきか、またそれらをどう管理するべきかなどを学ぶことが出来ました。
大量のデータとコンピュートリソースという面から、特に大きな費用が掛かる場合が多いですが、低コスト化に関しての知見を得ることが出来ました。
Improving development ergonomics
karaage: コーディングからテスト、ビルド、デプロイ、E2Eのデバッグとトレース、パフォーマンス分析の一連の開発工程を、すべてAWSのツールを使って体験するワークショップでした。
AWS Cloud9上でデモコードを編集し、AWS CDK (AWS Cloud Development Kit) で複数のLambda関数を組み合わせて条件分岐を作るステートマシンの可視化やソースファイルの変更を検知して自動でデプロイする機能を体験します。デプロイ後はAmazon CloudWatchで変数のウォッチ、Amazon CodeGuruでのパフォーマンスモニタリングを行いました。デモコードやガイダンス、それにAWSエンジニアにいつでも質問できる環境が整っていたため、2時間程度の非常に短時間のワークショップで、とてもAWSの開発ツールを効率よくキャッチアップすることができました。
Build an iOS-native app with a cloud-based backend
karaage: re:Inventでは珍しいiOS関連のセッションで、アカウント認証、データフェッチを伴うアプリのバックエンドにAWS Amplifyを使うハンズオンです。もちろんMacとXcodeが必要です。ピクシブのアプリはBaaSとしてFirebaseを使うことが多く、また個人的にもAWS Amplifyを使ったことがありませんでした。
CLIのみでAmazon Cognitoを使ったログインフローやAWS AppSyncを用いたGraphQLのインタフェースを構築でき、またこれらの更新も非常に容易でCLIのみで完結、Amplifyの構成はJSONファイルで管理でき非常に開発体験が良かったです。
A journey to increased developer productivity
karaage: DevOpsなチームを作ってAgilityを向上させる話です。CI/CDを使ってDevOpsなチームを作る目的や、メンバーに必要な心構え・やり方・助けになるツールを、Driftの事例紹介を交えて解説していました。例えばデプロイの一連のフロー(デプロイ実行、その後のモニタリング、問題発生時のrevert)では、メンバーが自分に担当にかかわらずフローを理解していて、Slack上に誰がいつ何をデプロイしたかが投稿されるようにした上でボタン操作で誰でも実行できるようにしてあり、デプロイフロー実行の透明性と柔軟性を確保していました。またデプロイ時には当該リビジョンのモニタリングダッシュボードへのリンクが投稿され、メンバーがアクセスしやすいようになっていました。
How Stable Diffusion was built: Tips & tricks to train large AI models
sugasuga: Stable Diffusionを開発したStability AIが登壇しているセッションでした。セッション後半のStability AIの分散ML基盤についての説明が非常に興味深かったです。
高性能インスタンスであるp4dインスタンスやAWS Trainium、インスタンス間の通信パフォーマンスを向上させるElastic Fabric Adaptor、ストレージとして使うEBS、S3、FSx for Lustreの説明を行った後、それらをHPCとして比較的簡単に構築できるAWS Pararell Clusterの説明がありました。普段の業務では大規模モデルの学習をする機会はないのですが、必要となった場合は有力な選択肢になると思いました。また、タスクのキューを作成してマシンの使用率を最適化していることや、モニタリング周りの話も聞くことができました。
Data Analysis with Amazon EKS and AWS Batch
sugasuga: AWS Batch・EKSのざっくりした説明を行った後に、ハンズオン形式でAWSリソースなどの作成を行いました。
ハンズオンでは、AWS Batchからジョブをキックして、EKS上で以下の処理を行いました。
- podにecho helloを実行させる
- S3から複数枚の画像を取得してGIFファイルにする
- モニタリングツールを入れてCPU負荷の高いジョブが実行されるのを確認する
AWS Batch + EKSは、一時的に高負荷のワークロードとなる機械学習のバッチなどに適しているとのことでした。実行までも非常にスムーズだったのでEKSでバッチ基盤を作る際は有力な候補になるのではないかと感じました。
catalog.us-east-1.prod.workshops.aws
Deliver great experiences with QUIC on Amazon CloudFront
yoshimin: HTTP/3で何を改善しようといたのか、という話のおさらいの話から、SnapchatでQUICを適用するときにどうやってモニタリングして改善したのか、という話があって、画像配信のシステムまわりの施策をするときにどういうモニタリングをするとよいかの参考になりました。
Keynote with Dr. Werner Vogels
harukasan: 毎年楽しみにしているDr. Werner VogelsによるKeynoteです。去年までリモートでKeynoteを視聴していましたが、re:InventのKeynoteはどれもそうですが、やはり超巨大な会場で生で聞くとその後のモチベーションがぐっと引き上げられる気がします。
今年のWernerのKeynoteはSynchronyが大きなテーマで、いつもの小芝居からはじまり、なぜ、マイクロサービスに取り組むことになったのか、アーキテクチャのパターン、イベントドリブンに移行した実例など、これぞre:InventのKeynoteだって感じる内容でした。
また、Epic Gamesが発表したRealityScanも気になってラスベガスで試してみてたんですが、4Gがめちゃくちゃ弱かったのと、認識がうまくいかなかったので、また日本で試してみたいと思います。
AWS re:Invent 5K
karaage: 世界最大級のクラウドカンファレンス AWS re:Inventにはいくつか余興的なイベントがあり、その中の一つが AWS re:Invent 5K です。早朝のラスベガスを5km走るマラソン大会で、参加料は45ドル。これには会場で提供される軽食やTシャツ代のほか、がんセンターへの寄付金が含まれています。このイベントがあると聞いて、ラスベガスでマラソンできる機会なんてそう無いので参加しよう、と思い参加しました。
スタートとゴールの会場はMandalay Bayというホテルの中にあるスタジアムです。会場ではフルーツと水が朝食として提供されていて、アメリカ滞在中はあまり果物を摂れるタイミングがなかったのでよかったです。会場ではDJがガンガン音楽をかけていて、ノリノリなMCが場を盛り上げていました。スタート前には軽いストレッチも行われました。
早朝のラスベガスを走り抜けるのは非常に気持ちの良いものですので、皆さんも来年ぜひ走ってみてください。
Meals
朝食と昼食が毎食提供されていて、各会場で用意されていて充実ぶりがすごかったです。
まとめ
世界一の規模のカンファレンスという噂に違わない規模で度肝を抜かれましたが、そこでしか得られない体験もあるので、ぜひとも継続的に参加できるようにしていきたいです。