みなさんこんにちは!ピクシブで唯一のテスト専任エンジニアの @shimashima です。
今日は昨年10月に全社向けに発表を行なった「品質“実質”無料キャンペーン」についてご紹介しようと思います。
キャンペーン開催の経緯
昨年10月より、それまで所属していたpixiv運営本部からコーポレートエンジニアリング部という間接部門に異動し、社内システム改善を行うとともに社内全般の品質向上を目指して動くことになりました。
入社した当時はソフトウェアテスト・品質を専門としているエンジニアは私一人でした。ピクシブのサービス全般についての品質向上を目的として入社したものの、社内での私自身の認知度もまだまだで、品質に関する相談もかなりまばらな状態でした。需要が少ないということもあるかもしませんが、まずは「社内に品質について相談する人・窓口がある・居る」ことを認知してもらおうと思っていました。そのとき、コーポレートエンジニアリング部の上司でありVP of Engineeiringのbashから全社員向けプレゼンを提案され、それに乗ることにしました。
テーマ決定と内容で気にしたこと
テーマどうするか
発表することは決まりましたが、テーマをどうしようか悩みました。 『品質』という言葉自体が比較的硬いものでとっつきにくいものです。意外性をもちつつも本質を突いているようなものが望ましいのではないでしょうか。 「なぜ品質を向上させたいのか。向上させることで嬉しいことは何だろう。」と考えた結果「品質を向上させることでコストが下がり、結果として価値向上のためにより多くの力を割くことができる」がその本質でかつ受け入れられやすいのでは、との結論に至りました。
実際のテーマにする際には、クロスビーの「Quality is Free」にあやかる面もありました。キャッチーさを出すため「品質“実質”無料キャンペーン始めます」としました。 プロダクトがリリースされた後でバグとして発見されるよりも、前の段階で見つけ対応することでコストを削減できる、だから品質にかけるコストは“実質”無料なのです、というメッセージを込めました。
ここにたどり着くまで、隣の席に座っているbashと何度も相談を重ねた結果でもあります。
内容について特に気をつけたこと
テーマはきまりましたので、次に内容を作っていきます。基本は先に述べたように品質にかける投資は回収できます、そして品質向上についての相談は私がいつでも“実質”無料で受けますというものです。これにそって肉付けしていきます。
その際、特に気をつけたことは以下のことです。 - 品質そのものの定義は行わない - 品質の基準は定めない - 自分はあくまでサポートであって、プロダクトチームが主体であることを中心に据える
特に最後のことが重要です。私は一人でかつ間接部門の人間なのでプロダクトに責任を負っていません。所詮外野なのです。プロダクトチームが主体的に行動しなければ改善することはできないのですから。
発表当日
弊社では毎週水曜にランチ会が開催されますが、そのあと30分の時間をもらい集まった社員の前でスライドを発表しました。
スライド発表が終わったあと、質疑応答に移りましたが以下のような質問を受けました。
全社的な品質基準を策定し、各プロダクトに遵守させることは考えていますか?
先に述べたように、私はプロダクトチームが主体であることを重要だと考えています。そのため、品質基準なども私が主導することはなくチームが必要とした場合はその策定の手伝いを行うつもりでした。 この考えのもとに、以下のように回答しました。
それについて部署(コーポレートエンジニアリング部)として公式な見解はありせんので、個人の意見として述べます。役員が会社の方針として策定するというなばら検討しますが、そうでない限りそれは行いません。あくまで品質向上の主体は各プロダクトチームなので、私から何かを強制することは一切ありません。あくまでお手伝いをするだけです。
反響
この発表後、社内でいかのようなことが起こるようになりました。 社内Slackのカスタム絵文字 に「実質無料」という文字が追加され、テスト関係の話題がでるとリアクションがつくようになった。 社内で歩いているとプロダクトチームの人から「実質無料、まだやっていますか?」とテスト・品質についての相談を受けるようになった。
自分としては、社員向けプレゼンでどこまで変わるか不安でしたが、上記にように良い方向に影響がでたことは本当に嬉しく思います。
おわりに
「社内に品質の相談窓口がある」という認識がされたということで、まず一歩進むことができました。また、昨年末からは私が主催し有志参加による 品質の会
が毎週開催することになり、品質周りの相談を受けたり関連する勉強会やセミナー情報の共有を行うようになりました。今年はもう少し目に見える成果を出せるようにしていきたいと思います。
まだまだ動き始めたばかりですが、一緒にピクシブを品質面で改善していくエンジニアを募集しています!