entry-header-eye-catch.html
entry-title-container.html

entry-header-author-info.html
Article by

津の片隅からファイバーなしでライブ配信する技術 #rubykaigi #ruby_music_mixin

こんにちは、CTOのharukasanです。CTO以外にImageFluxのプロダクトオーナーもやっています。 ピクシブは三重県津市で開催されたRubyKaigi 2022にMusic Lounge Sponsorとして参加しました。

Ruby Music Mixin

ピクシブでは最終日2022/09/10 (土)にRuby Music Mixinというラウンジを提供させて頂きました。Ruby Music Mixinについては別にalitasoが記事を書いてくれたのでそちらをご参照ください。

inside.pixiv.blog

Ruby Music Mixinのトリをつとめる弊社若手の様子

RubyKaigi 2022は感染症対策のため三重県津市の会場とオンラインのハイブリッドで開催されました。これにあわせ、Ruby Music Mixinも物理ラウンジに加え、オンラインラウンジとして配信でもRubyKaigi参加者の方に参加いただけるようにしました。当日は会場には約40名、配信では約80名のみなさんにご覧頂けたようです。

ファイバーなしで配信する技術

一般的にライブストリーミング配信を行う場合、会場にNTT東西のフレッツ光を引きこんで利用します。しかし、会場の物理的制限により安定した回線を用意することが難しい場所はたくさんあります。今回会場としてお借りしたCafe&Live Bar Branも、いわゆるふつうのカフェということもあり、インターネットに関してはよくわからない、ということだったので会場ネットワークに依存せずに配信することにしました*1

物理的な回線を利用しないとなると、のこるはモバイル回線しかありません。近年は4G、5Gが整備されており、1回線でもそれなりの上り速度が出るのですが、下見の時間もなかなか取れないなかで安定したモバイルネットワークを得られるかは不安が残ります。そのため今回は、モバイル回線でどこでも安定した配信を実現できる技術であるLiveUを実践投入することにしました。

当日の構成

当日の構成は次のようになっています*2。会場の設備以外はすべてパブリッククラウドを利用していますが、ピクシブらしいハイブリッドクラウド構成です。

映像

会場ではVR-4HDにPAから音声入力をもらいカメラの映像とミックスしてLiveUに送っています。今回の構成ではPCが必要ないのでUSBで繋がる必要はないのですが、会社で普段から慣れているVR-4HDを使いました。

カメラはステージ上とステージ前の2台用意しました。VR-4HDで適当にスイッチングしてもらってたのですが、動きがあって良い映像になったのではないでしょうか。

LiveU

LiveUはLRTと呼ばれる独自プロトコルで複数のモバイル回線をボンディングして送信します。これによって帯域が安定しないモバイル回線でも帯域を落とさずに送信し続けることができます。送信された映像はLiveUの東京アクセスポイントでRTMPに変換されMediaLiveに入力されます。

今回はLiveU Solo+の6回線セットをレンタルし5回線構成で利用しました*3。パンダスタジオのレンタルセットには既に契約済みのモバイル回線が含まれているので、届いた瞬間から利用することができます。

LiveU Solo+はHDMI/SDIを直接入力できるのでビデオスイッチャーから直接HDMIで入力するだけです。Webコンソールからリモート操作できるのですが、ライブ中常に8Mbpsでの配信を維持できていました*4

AWS Elemental MediaLive

RTMPからHLSへの変換にはAWS Elemental MediaLiveを使いました。MediaLiveを使うことで非常に簡単にRTMPエンドポイントを準備してHLSに変換することができます。このへんの構成はPIXIV DEV MEETUPを開催したときの使い回しだったりします。

配信インフラ

HLS配信はプロダクションで利用されているピクシブのライブ配信インフラにのっかる形で配信しています*5。クラウドに立てたnginxでHLSをキャッシュすることにより、AWSからのアウトバウンドトラフィックを抑えることができています。また既に契約している回線を利用することで、転送量当たりの単価を気にせずに大容量の配信インフラをお手軽に実現しています。

おわりに

ピクシブとしてラウンジを提供し、またそこから配信することははじめての試みになりました。DJ機材を東京から新幹線で運ぶことになったり、ホテルから機材を満載してタクシーで会場に行くことになったり、スタート時間ギリギリまで準備することになってしまいましたが、予定通り開催することができました。

会場を提供頂いたCafe&Live Bar Branさま、スタッフとして協力してくれたピクシブスタッフのみんな、ただでさえ準備が大変ななかご協力いただいたsora_hはじめとしたRubyKaigiオーガナイザーチームのみなさま、そして会場、オンラインで参加いただいた方々、皆様に感謝いたします。

個人的にはこのイベントを理由にしてRubyKaigi初参加のピクシブメンバーを多く三重に連れて行くことができたことがとても嬉しいです。来年もぜひRubyKaigiに参加してもらえればと思っています。

最後になりますが、ピクシブではお絵描きコミュニケーションアプリ pixiv Sketch LIVE、そしてブラウザだけで高品質なライブ配信を実現できるライブストリーミングエンジンとしてImageFlux Live Streamingを開発しています。配信技術に興味があり、一緒にチャレンジしてくれる方のエントリーおまちしております。

それではまた来年松本でお会いしましょう!

https://recruit.jobcan.jp/pixiv/show/b001/365436recruit.jobcan.jp

*1:確認したところFree Wi−Fiの提供はあって、フレッツ光は来ていそうでしたが他の機材をつなげて良いかの確認はとれませんでした

*2:図中で図示されていない部分は全てパブリックインターネットです

*3:もう1回線は演者さん用のWi-Fiとして提供しました

*4:VR-4HDのACアダプタが抜けてしまい画面が止まるという事故があったのですが、それ以外は最後まで安定して配信できました

*5:ImageFluxのインフラではないです。いつかImageFluxのインフラも使えるようにしたい……

20191219023135
harukasan
1988年生まれ。久留米高専、九州工業大学を経て、筑波大学大学院システム情報工学研究科博士前期課程修了。2012年ピクシブ株式会社に入社。インフラチームとして画像配信、ログ解析基盤などを担当。現在はCTOを務める。