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リリース予告の理想と現実〜オーナーギフト機能リリースの舞台裏から〜

プロダクトマネージャーのwatasukeと申します。

2023/6/15、BOOTHで「オーナーギフト機能」を数ヶ月前に予告したうえでリリースしましたが、その舞台裏についてお話いたします。

  • ギフト機能
    ダウンロード商品を購入し、発行されるギフト用URLを使って第三者に贈ることができる機能

  • オーナーギフト機能
    ショップオーナーであればダウンロード商品のギフト用URLを無料で発行できる機能

無料で提供することをサッと決める

オーナーギフト機能は無料で提供しているのですが、これはプロダクトオーナーと
「無料でいいですよね?」
「いいんじゃない?」
くらいの会話でサッと決まったことです。

いちおう考慮事項として、以下のようなことは頭を巡らせましたが、基本的な運営感覚はプロダクトオーナーと共有できていたので話を早くまとめられました。

  • なにかしらの悪事に利用されないか
    • そもそも大量に配布したいなら0円で出品できる機能を使うだろうし、わざわざギフト機能を用いる利点が薄そうで問題なさそう
  • 過剰にギフトされてしまわないか
    • そもそもどこからが過剰でどれくらいが適切か決めるのはショップオーナーであるべき
    • ショップオーナーもなにが自身の利益なのかは自分で判断して行動してくれるだろう
  • 手数料を取る選択肢はないのか
    • もともとショップオーナーのものを誰かに渡すための機能でBOOTH運営がお金を取るのは違和感
      • 管理がしやすくなるという価値はあるがちょっと弱そう
      • 注文からいただいているサービス利用料は、主に決済代行業社への手数料と、取引にかかる運営コストのためなので、決済と取引の無い機能においては無くてよい
    • ショップオーナーの自由度を上げてBOOTHを使い倒してもらうほうが有益そう
      • プレゼント企画でBOOTHの利用を広げてもらうなど
    • 例えばBOOTH Appsでは、全ショップが無条件で使えてしまうとマーケットがクローズドになってしまう・買いにくくなってしまう・運営コストが上がってしまうといったデメリットも持つ機能を有料にしている。今回の機能はそのようなデメリットが無さそう
    • 有料にしてしまうと、ショップオーナーによる自ショップでの購入への動機付けになってしまいかねない

リリースタイミングを段階的にわける

もともとオーナーギフト機能がニーズとして存在していることは、事前のクリエイターヒアリングから把握していました。

ただ、通常のギフト機能を早くリリースすることを優先し、オーナーギフト機能は段階をわけるという意思決定をしていました。

オーナーギフト機能と合わせて"完璧"な機能を提供するよりも、コア価値を早く提供することを選んだ形です。

これは、BOOTHでは基本的に分けられるものは分けてリリースする、という方針を取ることが多いというのが大きいです。

段階的にリリースすれば、すべてではないものの多くのユーザーに嬉しさを最速で届けることができますし、その後のユーザーの反応を見て需要の確認や機能の微調整がしやすく、ユーザーの求めているものと違ったときに手戻りが少なくて済むことなどが理由です。

また、今完璧だと思って作っていた物が、完成する頃には時流などによって無用になってしまうといった失敗も避けやすくなります。

もちろん場合によってはバシッとキマった形でリリースすることが優先されることもあるでしょうから、ここはケースと好みによると思います。

そういった背景もあり、ギフト機能だけをまずリリースしたところ、実際オーナーギフト機能も要望の声を多くいただきました。
そして、実装の必要性を改めて確認しました。

リリース予告を行うか?

実装することを決めたら考えるのが「どうリリースするか」です。
特に今回は、リリースすることを予告するかどうかで悩みました。

予告せずにこっそり開発する場合、ユーザーに期待させすぎずに済みますが、実装を求める問い合わせが続くかもしれません。
一方、リリースを予告すると、安心してもらうことはできるかもしれませんが、当初予告した通りの機能を実装できるかは不明瞭ですし、いつ出せるかも正直わからないものです。

迷いましたが、「おそらく実装できるだろう」というエンジニアの意見を参考に、先に予告することにしました。

この予告ツイートは約1,000RTされるなど大きな反響をいただきました。

ただ、このツイートの時点では本当に作りきれるか、どういう仕様になるかは具体的には固まり切っていなかったのが正直なところです。

それでも、ユーザーコミュニケーションやマーケティング観点だけでリリースすることを決めるのではなく、実装的に無理のないものでないかエンジニアに確認を取ることは心がけました。

予告したものの、思ったより時間がかかった

ただ、予告はしたものの、実際にオーナーギフト機能をリリースするまでには5ヶ月以上かかってしまいました。

ユーザーの皆様にはお待たせして心苦しい日々を過ごしていましたが、その背景には大きく3点の問題がありました。

  • 想像以上に実装の難易度が高かった
    • ギフト機能には決済が絡むことで慎重さが求められることや、UI上の整合性をどう取るかなど、議論検討を深く行う必要があった
  • オーナーギフト機能以外に優先的に対応しなくてはならない差し込みの案件が入ってしまった
  • 差し込み案件をカバーしたり、実装・レビューを分散したりするだけの人員の余裕がなかった

この記事の本筋とはずれてしまうので深くは触れませんが、特に開発人員不足については採用を頑張っていきたいです。(お待ちしています!)

機能リリースを予告することの是非

さて、あらためて機能リリースの予告の是非についてですが、一般的に以下のようにメリット・デメリットを整理できるかなと思います。

メリット

  • 事前に告知することで、リリースしたときに受け入れられやすく初速が出そう
  • 実装せずにユーザーの感触がある程度確認できる
  • こまめなコミュニケーションがユーザーとの信頼関係構築に効きそう

デメリット

  • 当初ユーザーに約束していたものができるとは限らない
  • 開発陣に無理を強いる場合がある
  • 実際は差し込みが入ったり予想外のことが起きて遅れる可能性がある
  • スケジュール優先になってクオリティを犠牲にしかねない(スケジュールも予告した場合)

今回、実際にリリース予告をしてみて、「この機能はこんなに求められてるんだ」と開発のモチベーションや確信度が上がったのは良い点でした。
また、どういう人がリリース予定の機能を求めているか、ターゲットユーザーの解像度も上がりました。
一方で「予告していたのになかなかリリースされない」と、かえって不安に感じてらっしゃる様子も目にしました。

ただ、上記のメリットデメリットもあり、一概にどうすべきだとまでは言えないという感想です。
ずるい言い方かもしれませんが、やはりケースバイケースで考える必要があると思います。
ただ、リリース予告が効果的な場面もあると感じられましたので、今後も選択肢として検討していくつもりです。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました。

あなたはリリース予告についてどう思われますか?
もし本記事が参考になった、あるいは意見や感想などございましたら、Twitterなどでシェアいただければ嬉しいです。

またこういったリリースやユーザーコミュニケーション、マーケティングにまつわるお話が好きな方は、カジュアル面談も募集しておりますので下記の申し込み口からお気軽にご応募ください。

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watasuke
2017年中途入社。BOOTH PM → 決済サービス部 PM → 3Dビジネス室 PM。マンガと生きものと福井県が好きです。