entry-header-eye-catch.html
entry-title-container.html

entry-header-author-info.html
Article by

なくそう! チームの情報格差 【リモート環境で発言するチームを作る】

pixiv運営本部にてマネージャーを担当しているnagiです。社内ではpixivのPC版、モバイル版、アプリ版を開発しているメンバー約30名のピープルマネージメントを主な業務として行っています。

ピクシブでは『チームで価値を最大化する』という行動指針に従い、オフィス内でのコミュニケーションを大事にしてきた背景があります。2020年8月現在、ピクシブでは社会情勢に追従し、在宅勤務を希望する社員はリモートで働いています。変化したワークスタイルに対応しながら、異なる部署と自部署のメンバーでpixivの作品投稿企画を毎月開催するプロジェクトチームの結成を任されました。

本記事では新チームの力を最大化させるためのワークフローをご紹介します。リモート環境への変化に合わせて、社員同士の情報格差を無くすことに注力した結果、チーム発足から1ヶ月で、オリジナル作品投稿企画『なっちゃんの夏休み』開催まで無事たどり着きました。 

f:id:pxvpxv:20200818165028j:plain

メンバーの相互理解を促し自発するチームを作る

企画作りは難しいです。今までの人生でインプットした経験からアイディアを引き出す。チームメンバーで案を共有し合い、化学反応を起こし、面白いモノを作らなければならない。よって、『チーム全員が発言する会議』をボイスチャットで行う環境を作り出すことをゴールに定めた。しかし、「全方向から意見を出し合う会議をしたい!」とストレートにチームに伝えても、全員が発言するチームは作れません。心理的安全性をチームリーダーがどのように確保するかが、腕の見せ所になります。

最初の企画案が完成するまでに、計7回リモートMTGを実施しました。2回目のMTGから参加者全員に共通の宿題を課し、発表と質問を受ける機会を設けています。

  • 1回目
    • 議題:チーム発足理由、なぜ、何を、いつ、行うか、を共有。スタートラインをそろえる
  • 2回目
    • 議題:部署を越えた連携のため、自部署でのプロジェクトの進め方を説明。仕事の進め方の違いをそろえる
    • 宿題:企画をフォーマットに従い次回のMTG資料に記載
      • フォーマット
        • 誰に向けて?
        • なぜ行うか?
        • どうやって?
  • 3回目
    • 議題:各自が企画発表を行い、全員で意見を言い合う
    • 宿題:メンバー相互理解のために、自己紹介を次回のMTG資料に記載
      • フォーマット
        • 職歴
        • 趣味
        • 特殊スキル
  • 4回目
    • 議題:全員が初対面と仮定し、自己紹介を実施。気軽に質問を飛ばし合う
    • 宿題:主観で良い企画と悪い企画の定義を次回のMTG資料に記載
  • 5回目
    • 議題:各自が主観で良い企画と悪い企画の定義を発表。意見を言い合い、チームのクオリティ定義を一致させる
    • 宿題:プロダクトマネージャーが作成したインセプションデッキ*1をインプットする
  • 6回目
    • 議題:インセプションデッキに対して気になることや懸念点を発表し、意見し合う。チームで直近の3ヶ月、半年後の目標、やらないこと、やることの認識をそろえる
  • 7回目
    • 議題:これまでのMTGで各自が発表した内容をNotion*2で整理するグループワークを実施。情報を振り返り、7月の企画案をチームで決める 

参加者に発言する習慣を促すために、宿題提出を必須にしました。次のMTGで発表を行わせ、意見をギブアンドテイクする環境を意識しています。宿題を促すときは、少しでも難易度が下がるように、回答フォーマットを用意しました。合わせて、出題者の解答例も共有し、全員が宿題を完遂する確率を上げる工夫を行います。

メンバー相互理解とプロダクト運営ルール認識をそろえることに大半の時間を費やした結果、企画の案出しでは、全員がボイスチャットで意見を出し合う理想の会議になりました。ここまで準備が整えば、メンバーをサポートするだけで案は完成していきます。

簡単にできるリモート環境対策

Slack、ChatworkなどのテキストチャットツールとGoogle Meet、Zoom、Discordなどのボイスチャットツールを組み合わせてコミュニケーションを行う環境に必須のコミュニケーションが1つあります。

f:id:pxvpxv:20200819115913p:plain
「チャットではなく、ボイチャで少し話しませんか?」と誘えるマインドを全員が持つことです。特にテキストチャットでは、相手の気持ちを読みづらい問題があります。普段から感嘆符(!?〜)や絵文字で巧みに感情のアウトプットが可能な方なら問題ないのですが……そのような人は希です。敬語が組み合わさると更に感情が読みづらくなり、不安なやり取りをした後は、ネガティブに捉えるケースもあります。また、文章だけのやり取りは、情報欠損を起こしやすく、誤解が発生しやすいです。仕事を確実に進めるために、テキストチャットの後に5分程度のボイスチャットを行いましょう。相手の声のトーンから感情を読み取り、不安そうなら丁寧に説明するなどのケアが可能になります。

ボイスチャットのコミュニケーションを増やす際に注意することは3つあります。

  1. ボイスチャットの目的を双方が意識する
  2. ボイスチャットの内容は議事録として残す
  3. チームが関わることはメンバー全員が閲覧可能な情報集積場に掲載する

ボイスチャットの目的を双方が意識する

ボイスチャットが、どのコミュニケーションの隙間を埋めるか意識する。隙間の例としては『隣席で気軽に話しかける相談』『ちょっとした立ち話での議論』『会議室でのMTG』『個室での1on1』などがあります。ボイスチャットの目的を双方が意識していることが大事です。

ボイスチャットの内容は議事録として残す

ボイスチャットで話した内容は議事録として残す。後から「言った!」「言わなかった!」の論争にならないように、議論の結論、宿題はドキュメントかテキストチャットに記載することが大事です。

チームに関わることはメンバー全員が閲覧可能な情報集積場に掲載する

特にメンバーに関わる情報は、全員が閲覧可能な情報集積場に記載します。ピクシブではNotionを活用しています。

f:id:pxvpxv:20200818182929p:plain

メンバーが働く環境をより進化させていきたい

マネージャーとして『チームメンバーに相互理解を促す環境』と『チーム内で発生した議論をメンバーが議事録に残し、情報格差を発生させない環境』を整備してきました。 

リモートワークの急所を的確に無くすために行った環境整備でしたが、通常のオフィス業務でも実践した方がチームの生産性が向上しそうなことが多いのが学びでした。日常と異なる環境に身を投じたことで、良き進化の機会をいただけたようです。本記事がみなさまのチームビルディングの助けになれば幸いです。

 

*1:アジャイルサムライ――達人開発者への道で紹介されているインセプションデッキのアプローチを改良して使用しています。

*2:Notion はチームでドキュメントとスケジュール管理などを1つサイトで行えるオールインワークスペースです。

nagi
2010年に、エンジニアとして中途入社。現在はpixiv運営本部のマネージャーとしてピープルマネージメントを行っています。趣味の自作ゲーム製作経験を活かし、様々なプロジェクトに企画として関わっています。 最近ではpixivファンタジアLAST SAGAではプロダクトマネージャーを担当していました。