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ピクシブでのNotionのつかいかた

こんにちは、pixivのリクエスト機能を開発するチーム(以下、リクエストチーム)でプロダクトマネージャーをしているgeta6です。

ピクシブでは、社内ドキュメンテーションツールとしてNotionを採用しています。Notionでうまいことドキュメンテーションが機能し、継続できるよう、使い方やルールを各メンバー・各チームみんなで考えています。

本日はそんなNotionで実際にやってみて得られた気づきや知見をシェアします。もし参考になることがあれば、取り入れたり取り入れなかったりしていただければ幸いです。

背景

リクエストチームは立ち上げ当初より一貫してフルリモート体制で働いています。お互いにそれほど顔馴染みのないメンバー同士でしたが、第1回目の緊急事態宣言が出る前後からこちら、ほぼ物理的に顔を合わせることなく仕事をしています。

基本的にメンバーはDiscordに常駐しており、朝会・定例・雑談・議論といった、オフィスであれば顔を突き合わせて会話していたような機会は全てチームのボイスチャンネルにて実施しています。

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チームメンバーがDiscordに常駐している様子

この場で起きた議論は口頭の議論です、いい議論をしたことに満足してそのままにすると全てが発散してしまいます。

また、リクエスト機能をどういった機能にするべきか、多くの仕様が固まっていない・議論されていない状態からリモートでプロジェクトが始まったため、開始当初から「言った言わない問題」や「預かり知らない場所で結論が出てしまったことによる自分ごと感の低下」に対する強い懸念がありました。

この懸念を払拭するため、チーム内外のリクエストに関する情報をどんな些細なことでも全てNotionへ集約するようにしました。

ドキュメント置き場を集約する

チームでNotionを運用するうえで最も憂慮すべきは、Notionに対する自分ごと感の低下です。

Notionのドキュメントは階層構造をもっているため、必然的に「どこに文書を置くべきか」という知見がナレッジ化しやすく、徐々に文書を置く場所を機械的に決定することができなくなっていきます。文書を置く場所で迷う機会が増えてしまうと、文書そのものを作ることを諦めてしまい、情報を残さないという事が起こりやすくなってしまいます。

これが何度か続くと自分ごと感の低下に歯止めがかからなくなり、だんだんNotionと距離を置くようになってしまい、やがて「Notionよく分からない」という心理的なハードルが確立してしまいます。

そこで、適当に文書を置ける場所を用意しました。ルールは「他のメンバーに関わるであろう情報は全部ここに突っ込む」だけです。これがあるだけで、ドキュメントの作りやすさが大きく変わります。

ドキュメント置き場
ドキュメント置き場

ドキュメントの連なりが情報になる

どこにどの文書を設置すればよいかについての知見がオープン化し、機械的に判別できるようになると、徐々に「文字になっていない情報は情報ではない」という認識がチームに醸成され、積極的に文書が作成されるようになっていきます。

最初は議論が始まった後に後追いでドキュメンテーションが行われ、「今の流れ書いといたよ」というコミュニケーションをしていたのですが、どうせ書くならとあらかじめ議事録を書く記事を作ってからMTGをするようになり、もう書く場所があるならとアジェンダが書かれるようになっていきました。

やがて不要なノーアジェンダMTGは実施されなくなり、MTGの議事録がきちんと資料の体裁を成すようになり、意思決定プロセスが網羅的に明言化されるようになっていきました。その結果、文書の連なりを振り返ることで「いつどういった議論・決定が行われたのか」が時系列順でわかるようになりました。

これは非常に大きなメリットで、この文書の並びそのものが「チーム全体の時系列順のアウトプットログ」となるため、それがそのまま「やったことの整理・職掌間の情報共有・定例報告・エスカレーション」に利用できて非常に便利です。

例えば、リクエストチームでは定期的に上長にエスカレーションを諮り、情報の共有や承認をもらう定例機会を設けているのですが、前回の定例から次回の定例までにやったことは下記図の赤枠にあることが全てです。ここから進行中の事項や決定事項を抽出しサマライズするだけで、抜け漏れの少ない資料が完成します。

ある定例の、前回から今回までに生成された文書リスト
ある定例の、前回から今回までに生成された文書リスト

また、チームメンバー全員が同じ場所に全ての文書を格納するため、メンバー同士がお互いに何をしているのかを把握するのにも役立ちます。

上長承認まで終わっている決定事項はどれか、チームとして決定したことはどれか、マーケティングでは今何が進行しているのか、エンジニアリングでは今何が懸案事項なのか、デザインは主に今どこを作業しているのか、プロダクトマネージャーはどのステークホルダーまで話を共有済みなのか、こういったことが文書の連なりから定量的に読み取ることができます。

情報の断片をまとめる

ドキュメントに記載された情報を元に、決まったことだけをこのドキュメント置き場から外へ出していきます。

チーム全体で合意して決まったことはプロジェクトの直下に設置された各ページに書かれ、議論中の情報やその経緯といった情報は全てドキュメント置き場に書かれている状態になります。

この時、ドキュメント置き場がデータベースであることが役に立ちます。Notionのデータベースは他のページに専用の表示方法で埋め込むことができ、例えば「マーケティングタグがついているものだけをフィルタリングし、開催日が新しい順で表示」といった指定をすることができます。

ドキュメント置き場の外の各ページに、これまでの議論の変遷や最新の議論状態を自動的に掲載することで、特にチーム外のメンバーへ情報を共有する際の初手のポータルページとして有効に機能させることができます。

ドキュメント置き場を別ページに埋め込んだ例
ドキュメント置き場を別ページに埋め込んだ例

最後に

リクエストチームは2021年5月現在もフルリモート体制を継続しています。リモート環境下で正しく仕事を進めていくうえで、特にプロダクトマネージャーの視点から見た時に大切な要素は「デリゲーション」と「エスカレーション」だなと感じています。

デリゲーションとは「現場のプレイヤーたちが高い自己裁量や心理的安全性をもって課題に取り組める環境を作り、維持すること」です。エスカレーションとは「会社にチームの取り組みや目的を共有し信頼してもらうことを通じてチームの裁量を獲得し、維持すること」です。

要はいいプロダクトを素早く出すために、会社から信頼を引き出し、チームが高い裁量のもとブレずに仕事をする環境を整備する、ということです。

この二つの要素を継続的に実現し、コミュニケーションエラーが起きないようチームを強力に支えてくれているものこそが「ドキュメンテーション」であると、強く実感しています。

「きちんと」「雑に」ドキュメンテーションをやっていくことで、チーム運用に起因する多くの初歩的なコミュニケーションエラーを失くすことができ、チームがユーザーと向き会う時間を増やすことができるはずです。参考になればぜひお試しください。

もしこの記事で興味をお持ちになられた方はぜひ、一緒に働きましょう。ピクシブやリクエストチームでは、クリエイターとファンの創作活動全般に興味のある仲間を常に募集しております。

recruit.jobcan.jp www.wantedly.com

付録

参考までに、本文で触れた「ドキュメント置き場」のレシピを置いておきます。

ドキュメント置き場の作り方

「リストビューのデータベース」を作成するのがおすすめです。プロジェクトのトップなど、置き場を設置したい場所で /list と打つとサジェストに出てきます。

リストデータベースの作成方法
リストデータベースの作成方法

既に文書を蓄積しているデータベースが存在する場合は「リスト形式」のビューを新たに作成するとよいでしょう。

リストビューの作成方法
リストビューの作成方法

ドキュメント置き場のおすすめプロパティ

開催日(Date)・タグ(Select)・参加者(Person)・編集日(Last edited time)、少なくともこの4つが設定されているとよいでしょう。

おすすめのプロパティ
おすすめのプロパティ

開催日

「時系列順のアウトプットログ」として見る時のソートキーに使います。あの頃何があったっけ・あの頃に考えてたアイデアなんだったっけ、という思い出しのヒントとして有用です。また本文で述べた通り、共有用資料・エスカレーション資料などとしてまとめる際に期間内のドキュメント一覧をリストアップしたい時にも便利です。

タグ

ドキュメントを絞り込んで表示したい時のフィルターキーに使います。ドキュメント置き場内ではあまり効果を発揮しませんが、外部から参照される時に有用です。続き物を一つにまとめるビューを作る、エンジニアリングに関わるものだけを表示するビューを作る、といったことが可能になります。

参加者

主にチーム外のメンバーが参加した際、誰が参加していたかを明記する時に使います。チーム外のメンバーはドキュメント置き場を常に見ているわけではないので、ここで登録することでNotion内で通知が飛び、ドキュメントの存在に気づく事ができます。

編集日

開催日を無視し、最近編集されたドキュメントを見る時のソートキーに使います。例えば、懸念点を網羅的にリストアップするような過去のドキュメントが複数日に跨った議論の末に更新されることもあり、そういったドキュメントへのアクセシビリティをあげるために用意しています。

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geta6
フロントエンドエンジニアとして2014年に新卒入社。現在は立場を変え、プロダクトマネージャーとしてプロダクト作りに取り組んでいます。