ベテラン社員インタビュー後編をお届けします!
前編では、会社の歴史や文化、事業について語っていただきました。今回は、会社の風土に加えて、それぞれの仕事観など、より個人にフォーカスしたお話を伺います。
ベテラン社員インタビュー前編 inside.pixiv.blog
メンバー紹介
drill:2009年中途入社。Pixiv Division アドプラットフォームSectionのleadとして広告事業を統括している。
uchien:2011年新卒入社。Platform Division Platform SectionのTeam Leadとして、ピクシブサービスの基盤となる様々な技術開発とプロダクトの連携を行っている。
geta6:2014年新卒入社。Platform Division Platform SectionのSection Leadとして、ピクシブの多岐にわたる開発を統括している。
ピクシブには“好き”と“遊び”を楽しむ文化がある
ー「ピクシブらしさ」や、好きなところについて教えてください。
drill:やはり、創作やサブカルチャー、コンテンツを好きな人が多いところですね。我々のミッションに共感しやすい性質を持ったメンバーが集まっているのは、とても良いことだと思っています。
uchien:普段の会話の中でも、創作している人へのリスペクトを感じる機会も多いですよね。
geta6:自分の好きなことに対する自己開示度が高い人が集まり続けていて、それが会社の文化基盤を維持している一つの要因かなと思います。特徴的なのが、全社会議で行う自己紹介のプレゼンが、みんな自己開示度が高い上にすごく面白いんです。
uchien:いかに自分の人生をエンタメとして魅せるか、ということにみんな全力をかけていますよね。こんなにうまく紹介できない!という声をよく聞きます。
geta6:みんな、エンタメへの振り切り方がすごいよね。
それぞれの楽しみ方を尊重する文化があって、お互いに否定的な態度を取るのではなくて、一緒に楽しんでくれるようなメンバーが多いです。
あと、違った価値観を持っているもの同士でも、「違う見方をしている人」としてストレートに受け入れているところや、みんなが違う視点からそれぞれの言葉で会社について語れることがすごいなと感じています。
uchien:会社のことが好きな人が多くて、心から楽しんで仕事をしている雰囲気がありますね。
特徴的な「個」を活かす組織文化
ーピクシブに入社して、ご自身が最も成長したと感じる部分はどこでしょうか?
geta6:不確実なもの・コントロールできない複雑なものへの向き合い方がうまくなったと感じます。
人間って、当然だけど制御できないじゃないですか。なので、コミュニティもプロダクトも組織も、制御しようとしない。何か問題が起きていないかを観測して、課題があればやり方を変えて試してみて、その結果をまた観測して、というように改善を繰り返す。上手くいくかどうかは試してみないとわからないので、「答えがあると思ってやらない」ということをとても大事にしています。
drill:僕は、人への頼り方や任せ方が成長したと思います。これは、“特定の分野で尖ったスペシャリストが多い”というピクシブの文化にも関わる部分だと思いますが、各々の能力を見極めた上で最適な任せ方ができると、会社やチームはやはり上手く機能しますよね。在籍が長い分、個々の得意分野を知る機会が多くあったので、誰にどんなことをどうお願いするべきか、という判断が以前よりも早くなったと感じています。
一般的に企業では、組織ごとに役割が決まっていることが普通ですよね。ピクシブもそういった面ももちろんあるけど、それと同等に個人を頼る、この仕事ならこの人へと個人名を挙げて仕事をすることが多いと思います。
ー人数が少ないときは自然と個人の得意を知れたと思いますが、今はどうしていますか?
drill:人数が増えた今は、正直難しくなってきていると感じます。我々の場合は、管理職同士の会議でそれぞれの部下の得意なところを共有しあって、「この人はそんな能力を持っているんだ!」と知ることはあります。
あとは、Slackがかなりオープンにやり取りされているので、積極的に見ていると、目立つアウトプットを出してる人は自然と目に入りますね。
ー会社で働く中で、大切にしてきた価値観や仕事への向き合い方はありますか?
uchien:基本的なことではありますが、社内外問わず人の仕事に敬意を払うことです。会社の成長や事業の成功ももちろん重要ですが、それを実現するためにも、お互いが気持ちよく働けないと途中でうまくいかなくなってしまうと思うんです。
マネジメントする立場である自分の役割としても、メンバーがなるべくストレスなく働いて、最終的に良い成果に繋がればいいなと思っています。なので、それぞれの仕事をしっかりと見て、尊重して取り組むように意識しています。自分だけでなく、社内全体で、丁寧にコミュニケーションを取る人が多いと感じています。
geta6:僕は、バリューチェーンとして正しい流れなのかを曖昧にせず意識的に観測して明確にし、チームで共通認識を持つことを大事にしています。
例えば、創作するときには、何かをひらめいて、誰か喜ばせたい人がいるか、自分が面白いと思ったからやるのか、まず動機がある。そこから創ったものが世の中に出て、誰かに届いて影響される人たちがいる。そういったバリューチェーンのシステムのようなものを意識的に観測するんです。
創作だけでなく、コードやプロダクトも同じです。何かものが流れていくときに、それが正しい流れなのか、どういうパターンがあるのか、感覚で捉えずにきちんと言語化する。例えばイレギュラーケースがあったときに、それが例外なのかむしろ正常な状態なのかを、メンバーと認識を合わせるようにしています。
drill:ピクシブのMVVにも「Respect Creation(創ることへのリスペクトを。)」「With Open Minds(多様な好きを受け容れよう。)」というバリューがありますが、この考えはとても大切にしているし、染みついている価値観です。創作活動に対して全く興味が持てないと、あまり仕事が楽しくならないし、やりがいやモチベーションの最大化は難しいのではないかと思っています。
なので、創作活動に対する解像度をあげるために、自分自身も創作をするということは個人的に大事にしています。入社してから15年経ちましたが、今でも絵を描くこと、動画制作や音楽制作なんかもやめないで続けていて、ずっと創作してきたがゆえに、やらなくなってしまうと自分の中の大事な何かが失われるんじゃないか、という気がしています。uchienもずっと創作活動してるよね。
uchien:そうですね。何かしら創作に取り組んでいる社員はやはり多いですね。
drill:もちろん、仕事に必要だからというわけではなくて、楽しいし創りたいという気持ちが大前提にあるからみんなやっているわけですけど、大切にしたい会社の文化のひとつだなと思っています。

ー組織内でのコミュニケーションを円滑にするために、工夫していることはありますか?
drill:予定を抑えやすい人でいたいという意図で、カレンダーをなるべく空けるようにしています。これは、役職者の予定が埋まっていると、組織全体のスピード感がものすごく落ちると考えているからです。
例えば、現場ではもう方向性が決まっていて、あとは上長の承認が得られればすぐにでも動き出せるのに、上長の予定を抑えられるのが1週間先になってしまう。それはどうなんだろうと。“ユーザーに最速で価値を届けること”が我々の使命だと考えたときに、それよりも役職者のスケジュールを優先することは、事業を行う上であまり本質的じゃないと思うんです。
スピード感が落ちてしまうと、新しいアイデアに対して、せっかく上がっている熱量を失ってしまう。なので、普段からなるべく予定を空けて「いつでも声をかけて」とメンバーに言っています。
geta6:僕も同じですね。あとは、スタンプだけでもいいので、連絡に気づいたらすぐにレスをするということは、以前参加した勉強会で教えてもらってからずっと実践しています。
反応がないと、忙しくて返信できないのか、判断に迷っているのかが分からない。状態が確定しないのは良くないですよね。
drill:セールスの領域だと、レスポンスの速さによって成約率が分かりやすく変わるという研究結果も出ていますし大切なことですね。
10年以上、ピクシブで働くことを選択した最大の理由
uchien:私はやはり、ピクシブの事業領域が好き、というところが大きいです。特に「pixiv」は、創作活動を楽しむ自分のような人がメインターゲットで、会社としても理解があるし、根本的に合っているなと感じています。それ以外でも、結婚や出産や介護など、ライフステージの変化によって働き方を変えなければならない場面で柔軟に対応してくれます。そういった面でも、ケイパビリティがある会社なので働き続けることができています。
drill:僕は仲の良い社員、趣味や気の合う社員が多く増えていったからですかね。ただ、これはウエットな感情寄りの話というわけではなくて。親しい人が多いと、誰が何を得意としているかわかるから仕事がスムーズに進められるし、相手への理解が深まると心理的安全性があがって、コミュニケーションにおいてのストレスも少なくなる。長くいることで身についた、企業特殊能力でもあるかなと思います。
geta6:好きなことを好きなだけ好きなように打ち込んで良い、という風土と、“おもしろい”という価値観が、ぶれない1本の芯としてずっとあるところです。事業本部でプロダクトオーナーをしているとき、メンバーとよく話していたんですが、「すごく利益が出るけど全然おもしろくない施策」と「利益は少しかもしれないけどおもしろい施策」だったら、絶対に後者を選ぶ会社だよねと。”おもしろいかどうか”という共通の価値観がみんなにあるところが、僕が10年働き続けてきた理由です。
ーピクシブにとっての“おもしろい”ってどういうことでしょうか?
geta6:ノイズというかカオスというか。コミュニティに対して真正面からアプローチしようとすると、ほとんどが一度きりの消費で終わってしまうと思うんです。それに対して、より長期的な、投資的な目線で見ると、色んな要素をそこに詰め込んでおいた方が後々大きな成果が得られる可能性がある。そういった感覚を指して“おもしろい”と言っています。

働き方の多様性に向き合い、考えることの重要性
ーリモートワークなど、多様な働き方において課題は感じますか?また、どのように改善を図っていますか?
uchien:働く側としては、リモートはとても便利だと思いますが、管理職からすると出社するメリットもあるので、バランスの取り方が難しいなと今まさに感じているところです。
drill:リモートでは、情報の同期はできても、感覚的なものの同期は難しいですよね。例えば、今日のこのインタビューをもしリモートでやっていたら、3人のテンションは全然違うはず。
ミーティングの性質によって適性があって、定例や定期共有の場合は、効率重視でリモートがいいと思うんです。でも、ブレストや、感覚・テンション・ニュアンスのような方向性を揃えたいという性質のものは、集まった方が良い。移動時間を含めて考えても、おそらく早いし、深い議論ができますよね。
geta6:現状は、実際に会った方が効率的な場面であっても、基本リモートになってしまいがちなところが課題かなと思います。部門によって、出社推奨日を作っているところもあるようですが、有効なのか評価はこれからです。
uchien:リモートワークにも、色々な人が働けることなどのメリットもあるので、両方上手く使って最適化できるようにしていきたいです。
drill:そうだね。なので、デフォルトをリモートにしつつ、必要性があるときは出社してもらって、その場が価値のある時間になるように考えて設計していくことは大事だと思っています 。

10年以上の歴史から振り返る、思い出深いエピソード
drill:今はデータセンターで厳重に管理されているのですが、2009年頃は自社オンプレサーバーのみで運営していたんです。そしたらある日、ビルの工事会社が誤って電線を切ってしまって、pixivが全停止したことがありました。
その日が土曜日だったこともあり、旧Twitterで「pixivが落ちた!」と騒ぎになっているのに気づいて。当時インフラを管轄していた担当者が急いでオフィスに向かったら、サーバーの電源が全部落ちていた。工事会社に確認したら、電線を切ってしまったと。
ーどれぐらいで復旧したんですか?
drill:電源さえ確保すれば良かったから、その日のうちには復旧したと思いますね。
uchien:私が新卒で入ったときは、インフラエンジニアは停電時の訓練をした記憶があります。もしかしたら、その出来事があったことの教訓かもしれないですね。
他には、以前は社員全員で沖縄に社員旅行に行っていました。今は人数も増えて行けなくなってしまいましたが。
drill:最後に行ったのが2019年だったかな、150人くらい参加して、さすがにこの人数が限界だというタイミングで新型コロナウイルスの流行もあってなくなりました。
uchien:ランダムで班分けして、普段業務であまり関わらない人と交流できるのも良かったですね。
最後に、これから入社を検討されている方や若手社員へメッセージをお願いします
geta6:仕事も創作も、チャレンジして失敗を繰り返したその先が”おもしろい”。失敗を恐れると挑戦しなくなってしまうけど、チャレンジも失敗も人生には必要だと思うので、ぜひ果敢に挑んで“おもしろく”していってほしいです。
uchien:改めて働くということについて考えると、私も約15年、毎日8時間前後を会社で過ごしていて、人生のものすごく長い時間を仕事に費やしているんです。せっかくだったら、その多くの時間を自分の人生にとって意義ある時間の使い方にしたいですよね。皆さんも、意義を感じながら働いてもらえたらと思っています。
drill:会社のミッションが「創作活動を、もっと楽しくする。」なので、それを一緒にやっていきましょう、というシンプルなメッセージですね。まだ全然道半ばで成し得ていないし、もっと楽しくできると思うので、まだまだこれからです。
創作って、正直しんどいことの方が多いんですよね。“楽しい”まで持っていくのは、本当にすごく難しい。楽しさと苦しさの割合でいうと、苦しさが6割以上を占めている人がほとんどだと思うんです。それでも、「創作活動を、もっと楽しくする。」ということは、これからの世の中の発展においても非常に価値のあることだと考えているので、一緒にもっと楽しくしていきましょう。

