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創作活動を支えるために。新執行役員が描くピクシブの役割と展望

今年、ピクシブは会社創業20周年を迎えました。そんな節目の年に、ピクシブの執行役員として2名が新たに就任しました。長年ピクシブの成長を牽引してきたnorioさんとjaggyさんに、新体制における率直な想いと、これからの展望について話を伺いました。

自己紹介をお願いします

norio:CPO(チーフプロダクトオフィサー)に就任したnorioです。ピクシブには2011年に中途入社しました。前職は音楽業界でデザイナー兼エンジニアをしており、ピクシブ創業メンバーだった知人から声を掛けられ、30歳になるタイミングで自分の実力を新たな業界で試したいと入社を決めました。複数のプロダクト立ち上げに関わっており、代表的なものだと、BOOTH、pixivFACTORY、pixiv Sketch、VRoidなどがあります。

jaggy:CBO(チーフビジネスオフィサー)に就任したjaggyです。私は、norioさん入社の半年後となる2012年に新卒入社しました。自分自身、コミケに参加するなど創作活動への興味がもともと強く、ピクシブのインターンシップ参加を経て、この会社なら面白そうなことができそうだと感じ、入社に至りました。グロースアナリストとしての活動やpixivのプロダクトマネージャーなどを経て、現在はpixivプレミアム事業やマーケティング部門、会社全体の経営戦略立案など幅広い分野に関わっています。

「創作活動への興味」という話が出ましたが、実際に個人として行っているクリエイティブな活動はありますか

norio:仕事で創作活動に関わるサービスを作っていますが、個人でも開発をしています。現在、3D関連の仕事をしているので、実験も兼ねて、プライベートで3D関連のツール開発などに挑戦したりもしています。

jaggy:少し前の話にはなりますが、ゲームサークルで活動をしていました。社内のメンバーと一緒に二次創作ゲームを制作してコミケで発表したりして楽しんでました。

norio:私達だけでなく、何かを創り出すことが好きなメンバーがピクシブには多いですよね。ものづくりをしている人たちに向けて、ものづくりができる。そこがピクシブで働く上での魅力でもあります。

新しい役割について思うこと

このたび新執行役員に就任されて、どんな心境ですか

norio:率直に言うと、あまり実感が湧かず…(笑)。執行役員に就任したことで大きく役割が変わるわけではないですからね。あくまで、今までやってきたことの延長線上にある役職だと思っています。

jaggy:私はCBO(チーフビジネスオフィサー)という役職ですが、「ビジネス」というと定義が広く、会社に関わること全てではと、任命時は戸惑いもありました。

ですが、norioさんと同じく、仕事がこれまでと大きく変わるわけではありません。新しい役職になったからといって何か新しいことに挑戦しようというよりは、これまでの歩みをベースに着実に推し進めていこうという気持ちが強いです。

新執行役員としての役割について教えてください

jaggy:私のミッションは、会社全体のビジネス戦略をきちんと構築し、成長を推進するための動きを作ることです。これまでのピクシブは、サービスごとに成長戦略を立てて伸ばしていく動きが多く、それはそれで良いことだと考えています。

しかし今後は、会社全体の成長を加速させる動きや戦略が、組織として必要な時期になってきています。CBOの任命もそうした背景に由来していると思うので、個別最適と全体最適の両方を上手く取りながら、シナジーを生み出していきたいと考えています。

norio:私はプロダクト責任者という役割を担っています。とはいえ、ピクシブには非常に多くのプロダクトがありますので、それら全てを細かく見るということではありません。私の仕事は、プロダクトを作っていく上での指針や方向性を明確に示し、チーム全体を引っ張っていくことです。

さらに言えば、プロダクト全体の品質やパフォーマンスを底上げするような方針を決めたり、具体的なやり方を提案したり、何よりも私自身が率先して実践しながら、プロダクト開発の現場を導いていくことが求められていると思っています。

進化する創作活動とピクシブの役割

新しい立ち位置でこれからどのように動いていきたいですか

jaggy:ピクシブには多くのプロダクトやサービスがありますが、ユーザーの中には「BOOTHがピクシブのプロダクトだと知らなかった」という方もまだ少なくありません。個々のプロダクトは成長しているものの、全体として連携が取れていない点に課題があると感じています。

まずは、各プロダクトがどのような仕組みで成長しているのか、要因を把握することに努めています。可視化すると、プロダクトごとに成長の仕組みが大きく異なることが分かります。例えば、口コミで広がるものもあれば、他のサービスに依存して伸びているものもあったり。これらを正確に把握した上で、それぞれの成長メカニズムに基づいた全体的な成長戦略を策定できれば、各部門ひいては会社全体の成長を設計できると考えています。

この取り組みを進める中で、特定のプロダクトから「もっとこうしたい」という要望が出てくることも当然予想されるため、norioさんと連携しながら進めていきたいです。

norio:ピクシブは創業時に比べて大きく成長しました。ユーザーからは巨大なプラットフォームを抱える大企業のように見え、昔に比べて距離を感じている方もいるかもしれません。

プロダクト作りにおいて重要なのは、ユーザーありきという考え方です。クリエイターやユーザーをすぐ隣で支えるような存在として、「ピクシブは自分たちのことをよく分かってくれている」と思ってもらえるよう、プロダクトを通じた価値をこれまで以上に提供していきたいと考えています。

企業ミッション「創作活動を、もっと楽しくする。」を実現するために、どのようなことを考えていますか

jaggy:この話をする上で重要なのが、今、創作を取り巻く環境が大きく変わりつつあるということです。数年前から起きていた動きですが、創作に関わる技術の進化はめまぐるしく、個人で。創れるものが大幅に増えました。

norio:私は、この進化には、大きく分けて3つの段階があったと考えています。

第1段階は、10年以上前に起きたスマホの普及です。これによって、誰もがパーソナルコンピューターを持つ状態になり、様々なツールに手軽に挑戦できるようになりました。次は、新型コロナウイルス感染症の流行です。コロナ禍で人々の活動が制限され、創作活動における悪影響もあった一方で、空いた時間を活用して創作に向き合い、楽しむ人が増えた面も大きいと思います。そして今、第3段階としてAI技術の登場が創作活動の在り方に影響を与えています。

これらの段階を経て、個人が創作に取り組む上での環境や選択肢は大きく多様化したと感じています。

jaggy:AI技術の登場により、制作の工程を補助するさまざまな技術が現れ、創作を取り巻く環境はこれまでとは異なってきていると言えそうです。

norio:イラストに限らず、動画もそうですよね。少し前まで限られた人しかビデオカメラを持っていない時代がありましたが、今や誰もが手元に持っているスマートフォンで動画撮影を楽しむことができます。そういう意味では、全人類クリエイターになれると言っても大げさではない時代になっています。

jaggy:そうした中で悩んでいるのが、クリエイターに対する私たちのサポート範囲をどこまで広げられるかということです。作品発信の場というとpixivが一番大きいですが、それ以外にもBOOTHやpixivFANBOXなどのサービスによって、インターネット上での作品発信を様々な形でサポートすることを目指してきました。

「pixiv」から会社がスタートしていることもあり、以前はうちのサービスにおける創作物というとイラスト・マンガ・小説が中心でしたが、最近は動画やゲーム、フィギュアやドールのような造形、3Dモデルなど、創作ジャンルは多岐に広がっています。

そのように創作が多様化する中で、ピクシブとしてどのようなサポートをしていきたいですか

norio:クリエイターが抱えている課題を解決するようなソリューションやツールを提供していきたいと考えています。

創作活動には必要だけれども、創作そのものではない部分、例えばお金や法律に関することに時間を取られ悩んでいるクリエイターは少なくないでしょう。そういった、クリエイティブに直結しない部分もサポートしていきたいです。

jaggy:「自分が思い描く世界を形にする」というのが、創作における楽しみの根幹だと思うんです。創作活動を最大限楽しんでもらうために、どこまで我々がサポートできるか、活躍の幅を広げられるか、創作活動を通じて得られるものをより増やしていけるか、が重要だと考えています。

norio:クリエイターが創作活動を続けるためにアルバイトをしなければならないような状態を少しでも解消したい、ということをBOOTHを立ち上げた当時に話していたのを覚えています。

理想は、クリエイターが作品を販売して利益を得て暮らしていけるような世界です。クリエイターが創作活動に集中できる環境の提供に、ピクシブは昔から取り組んできました。それは今後も変わらず、力を入れていきたい部分です。

jaggy:BOOTHやpixivFANBOXの売上で、「新しい機材を買いました」「売上で生活できています」という声をイベントなどで頂くことがありますが、本当に嬉しいですよね。今後もっと貢献していきたいと改めて思います。

また、活動支援とは別の方向から、創作の楽しさを提案できないかという話も社内でしています。直近だと、pixivに投稿した作品にエフェクトを付与できる機能がリリースされました。桜吹雪などの季節に合わせたエフェクトや、アニメとのコラボエフェクトなど、これまでに複数のエフェクトタグが期間限定でリリースされています。そういった、サービス上での新しい遊び方をより増やしていくことも考えていきたいです。

norio:個人的には、コミュニケーション分野でより面白いことができそうだと感じており、特に「コラボレーション」に注目しています。これまでもクリエイター同士のコラボレーションは行われてきましたが、環境やツールの有無などでコラボ企画を断念するケースもあります。私たちがそうした課題を解決したり、もっと面白いコミュニケーション手段を提供していけたらと考えています。

jaggy:私自身もファンコミュニティに属していますが、そこで「推しの誕生日に何かしたい」といった場合に、様々なスキルを持つ人たちが集まって共同で作品を制作するなど、コミュニティ内でのコラボレーションが増えていると感じます。近年の応援広告の広がりもコラボレーションの一例ですよね。プロダクトの成長にはコミュニティが重要だと思うので、そこに上手く取り組んでいけると良いと私も思います。

norio:プロダクトにコミュニティをどう組み込むか、様々な方法が考えられます。ツールや場所の提供も考えられますし、まずはきっかけの提供でも良いかもしれません。

jaggy:コミュニティ内での創作活動やコラボレーションを可視化する仕組みができれば、コミュニティ間の相乗効果によって想像を超えるものが生まれるのではないかと思います。

norio:コミュニティに絡んだプロジェクトで、実際に検討を始めているものもあります。新しい交流の形を模索していますので、ユーザーの皆さんにはぜひ楽しみにして頂きたいです。

目指したい未来と想い

「これからこんな会社にしていきたい」というビジョンがあれば教えてください

jaggy:会社として規模が大きくなり、できることが増えた一方で、難しくなっていることもあります。私自身、ベンチャーのような少人数の頃からピクシブにいるため、当時のワクワク感やポジティブな気質を忘れることなく、創作環境の変化に対応し、新しい価値を提供し続けたいと思います。

多くのユーザーに支えられているため、サービスに急激な変化を加えることは難しい面もありますが、会社としてできる限り挑戦もしていきたいと考えています。新規事業の検討も含め、様々な角度からユーザーに価値を届けられる状態を築いていきたいです。

norio:日本国内だけでなく、世界中のクリエイターや創作を楽しんでいる人たちに「ピクシブがあって良かった」と思ってもらえる存在になりたいですね。

近年、日本の創作カルチャーへの注目が高まっているのを感じます。それを私達なりにさらに推し進めていけたらと思っています。一方で「創作」と言っても、日本と海外では少し意味合いが変わったり、力の入れ方も違ったりするので、日本国内に向けて取り組んでいることが海外の方にもそのまま受け入れられるとは限りません。だからこそ、様々なことを試しながら挑戦し続けていきたいです。

ピクシブで働く上で、二人が大切にされている「哲学」や「信念」はありますか?今後への意気込みとともに教えてください

jaggy:私の座右の銘は「明日は明日の風が吹く」です。

もちろん先を考えて戦略的に動くことも大切ですが、IT業界も創作の環境もどんどん変化していく中で、自分の役割も自ずと変化します。私自身、この会社に在籍して様々なポジションを経験しながら、必要なところで、必要な力を出してきたと感じています。

事前に決めたことに囚われすぎず、自分の強みを活かせる部分で柔軟に、己のバリューを発揮していければと思っています。

norio:よく冗談半分で言っているのですが、「去年の自分より今の自分の方がイケてる」と常に言い続けられるように日々を過ごしていきたいです。

それがきっと会社のためにもなりますし、さらに言えばユーザーやクリエイターにも、素晴らしいプロダクトとして反映されていくのだと思います。常に進化していくこと、去年の自分を超えていくことを目指し続けていきたいですね。

jaggy:今後もサービスをより便利に、さらに拡大していくような動きに注力していきます。ユーザーの皆さんにより良いサービスを提供し、その価値を実感していただけるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

ピクシブ株式会社
「創作活動を、もっと楽しくする。」 クリエイターに、創作活動やファンとのコミュニケーションを楽しんでもらいたい 世の中のクリエイターの創作活動を支え、創作文化を刺激していきたい そんな想いで、私たちピクシブは世界中の人々の創作活動を支える事業を行っています。