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大規模ふりかえり会を支えるファシリテーターとしての舞台裏

高信頼性ソフトウェアエンジニアリング研究会 bashです。

ふりかえりは今日ポピュラーなものとなっておりピクシブでも各チームでよく行われています。 この記事では今年にわたしが主導した大規模ふりかえり会。その開催プロセスについて、ファシリテーターとしての舞台裏をお伝えします。

ふりかえりとは

わたしが長年バイブルとしているドキュメントにプロジェクトファシリテーション実践編 ふりかえりガイドがあります。

ここでは、ふりかえりとはこのように定義されています。

ふりかえりとは、「過去の学びを、幸福な未来を作ることに活かす行為」のことです

どのような取り組みであってもよりよい未来を作る学びがあります。取り組みが大きくなれば学びはより大きなものなっていきます。 今回行ったものもその例外ではなく、今後糧としなければならない教訓に満ち溢れていました。

そのため、普段はふりかえり会を開く側立つ事業部長や部署マネージャについても今回のふりかえり会ではいち当事者としてふりかえりに集中したいとのことで、わたしの方で専任ファシリテーターとして企画・設計・運用などふりかえり会全体を仕切らせてもらいました。

結論からいいますと会はこのような様子になりました。

そして、この会の結果はCOOにもレポートしており、今後の組織的な活動やプロジェクト進行にダイレクトに活かしていく予定です。

コンセプト作り

当事者たちの場ということで、客観的な正しさより、当事者としての生の声を大事にしたいと考えました。客観性の部分は別途プロジェクトメンバーに対してヒヤリングしていたものがあるので、そちらと両輪になるように、生の声を吸い上げることを今回のミッションとしました。

できるだけ多くの考えや気付き、エピソードや記憶が各メンバーの脳みそからアウトプットされ、それが相互作用を生み、メンバー同士でお互いに創発されるような場を作る。これが本ふりかえり会で目指した形です。そのため、とにかく「情報の量」をたくさん扱えるシステムでふりかえり会を設計しようと考えました。

進め方の考案

私のファシリテーション力、用意できるツール、世間の状況など照らし合わせて考慮した結果、今回はオンサイトオンリーで開催しました。

現場には以下のような環境を用意しました。しかめ面にならず、しかしシリアスな話もできる、でも人と人とが衝突しない。そういう環境を実現することを意識しました。

  • オフィスのオープンスペースを半日確保
  • ゆったりとした会場を設える
  • 巨大な模造紙と大量の付箋を準備し、人の輪と貼りはりものでProblem vs Usな構図を作る
  • ティーブレイクができるよう、ちょっとした軽食や飲み物を手配

ふりかえり手法選択

社内ではふりかえりというとKPTが定番です。わたしもこの手法を多く学び、実践してきました。

今回に限ってはProblemが山ほどでてきて場がどんよりしてしまうことを懸念しました。また期間が長かったため、プロジェクト前半のふりかえりが薄く、後半の思い出が主体となってしまうことも考えられました。

そこで、「プロジェクト期間全体を俯瞰して共通の記憶を作る」ことと、「Problemかどうか的な論評を避けつつ、各自の教訓を言語化する」ことを目指すとよさそうと考え、TimelineとFun-Done-Learnの二段構えとすることとしました。

enterprisezine.jp

qiita.com

本番準備

進行としては、大きく以下の流れを定義しました。特に奇をてらわずオーソドックスなグループふりかえりです.

  • 会の全体感として、アジェンダやグランドルールを話す
  • ふりかえり前のウォームアップとして、プロジェクト責任者からプロジェクト背景を再説明してもらう
  • 一人ひとりチェックインしてからふりかえりに取り掛かる
  • 適宜休憩をいれて集中力を維持してもらう
  • 一人ひとりチェックアウトしてから、懇親タイムになだれ込む

これを説明スライドとしてまとめて、会場で画面に投影しました。

加えて、TimelineとFun-Done-Learnの模造紙には、事前にいくつか付箋や記事をプロジェクト責任者を巻き込んで貼りつけてもらいました。 完全な白紙では書きにくく、情報が詰まりすぎていたら追記の余地がないということになるので、いい塩梅でツッコミどころをあえて残してもらいました。

また、ちょっとしたお楽しみとしてソフトドリンクとお菓子を用意しました。甘いものは皆が好きとは限りませんが、アイスブレイクとしてなごやかな雰囲気をつくれるので、大事なツールだと思っています。

終わってみて

今回のふりかえり会を経て、いい仲間がピクシブに揃っていることを再認識しました。Timeline、Fun-Done-Learn、チェックイン・チェックアウト、いずれもファシリテーターの私の心にも沁みるものばかりでした。

そして、私の中にあるプロジェクトマネジメントの知見や技術を、今後も進むであろう大胆なプロジェクトの立案段階から使っていただけるよう、各事業にダイブしてサポートしていこうと決意しました。

ここ数年私は、エンジニア職組織作り、コーポレートエンジニアリング部署作り、エンジニア評価、エンジニア採用、自社カンファレンス運営などロジスティックの活動にコミットしてきました。

そこから得た知見・経験を、今後はロジスティック領域から大胆に越境して、最前線で活躍するみんなの近くで盛り上げていきたいと思っています。ぜひこれからの活動にもご期待ください!

bash
経営企画補佐 兼 エンジニアリング室長。 2013年に広告配信エンジニアとして入社し、その後開発マネージャ、関連会社CTO、VPoE、コーポレートIT立ち上げと、支える活動をひたすら切り拓く挑戦を繰り返してきた。 現在は、solver & right handの経営企画分野スタッフ業とEngineering Office運営業を持つ。 タイプとしては知略が使える本能型。キャッチフレーズは「真面目なSE、真面目にSE」。 プライベートでは #RubyMuscleMixin ハッシュタグで健康のためのウェイトトレーニングに日々取り組んでいる。 個人の公式FANBOX https://bash0c7official.fanbox.cc/