はじめに
こんにちは!PIXIV DEV MEETUP 2024 運営チーム/ステージチーム全体進行のrenmaです。
ピクシブでは完全招待制カンファレンス PIXIV DEV MEETUP 2024を9月20日に開催しました。MEETUPにおける発信の中核を担うのが、ピクシブメンバー自らが登壇するセッションです。合計42名の登壇者が、日々行なっているプロダクト作りの裏にある想いや技術を発信しました。
本記事ではMEETUPのセッションの制作過程だけでなく、より良いセッションを作るための仕組みや、登壇経験の少ない登壇者を支える工夫をお伝えします。それぞれのセクションは、その分野に最も詳しいメンバーが執筆しており、詳細かつリアルな内容に仕上がっています。ぜひお楽しみください!
メインセッション<編
登壇者の募り方 by renma
PIXIV DEV MEETUP 2024の運営コアメンバーが決定した後に、全社員に対してMEETUPの社内参加者募集を行いました。MEETUPへの参加意欲のある社員には、以下4つの参加方法から複数の「やってみたいこと」を選んでいただきました。
- メインセッション登壇:15分 ~ 30分のセッション
- LT登壇:5分程度の勢い重視のセッション
- 企画制作:ブース出展、ノベルティ制作、その他やりたいことがあれば応相談
- その他何かしら関わりたい:受付、ノベルティ配布、懇親会準備
登壇者募集ではなく、参加者募集と広く募集を行うことで「登壇もやって、ブース出展もして、受付もして…」と稼働オーバーになる人を減らしたり、よりスキルを発揮しやすい関わり方をしてもらえるようにしました。また、セッション内容を任意回答していただくことで、この後に続くタイムテーブル設計をやり易くしました。
タイムテーブル設計 by sourmilk
登壇者を募ったら、タイムテーブルに落とし込んでいきます。
PIXIV DEV MEETUP 2024では、昨年と同様に「キーノート」「メインセッション」「ライトニングトーク(LT)」の3つの登壇方法がありました。
- キーノート
- イベントの目玉となるセッション。1時間にわたり、各プロダクトや部門を代表するメンバーが入れ代わり立ち代わり登壇する。直近1年におけるピクシブの活動のハイライトを凝縮して伝える。
- メインセッション
- 15-20分のセッション。
- ライトニングトーク(LT)
- 5分のセッション。今回のイベントでは、単に5分のショートセッション形式の発表から、いわゆる狭義のライトニングトーク、すなわち速いテンポと勢いで魅せる発表までが含まれる。
タイムテーブル作成にあたっては、特にキーノートとメインセッションにおいて「会社として伝えたいことは何か」を意識する必要があります。そこに強い意思を持っているCTOのharukasan, VP of Product のnorioを交えながら、ファシリテーターの私を含めて議論を進めました。
基本的には「キーノートとメインセッションを誰に話してもらうか」を軸に考えていきます。特にキーノートに関しては会社として伝えたいコンテンツを軸に登壇していただきたい方を決めるため、登壇希望を提出していない方に登壇をお願いする場合もあります。また単純にキーノート>メインセッションという序列があるわけではなく、例えば今年リリースされたPastelaとpixivcobanという2つのプロダクトに関しては時間をかけてより深くお伝えすることが重要と考え、時間的制約が厳しめのキーノートではなくメインセッションに配置しています。
大まかな流れとしては、まずイベントコンセプトや直近の会社としてのリリース等からキーノートで伝えたいことをまとめて布陣を決め、次にメインセッション希望者の一覧を見て全体的な多様性(特にフロントエンド、バックエンド、インフラ、デザイン、PdMといった職域)を確保しながら登壇者を決定していきます。最後にメインセッション同士やメインセッションとLT群で視聴者層が出来るだけ同一時間帯に被らないように調整しました。
作業にはFigjamを使い、応募内容を付箋にして書き出し、付箋を動かしながら配置を考えました。また応募時点で登壇内容の詳細が書かれていなかったり、漠然としている方もいらっしゃったため、適宜ご本人にSlackのDMで確認を入れながら進めていきました(この点は来年改善出来るポイントと考えていますが、普段登壇機会のない方にも気軽にご応募いただきたい気持ちもあり、バランスが難しい点です)。
多忙なメンバーを集めてミーティングを行う必要があるため、カレンダーを抑えるのが難しく、また多面的な観点から議論を行う必要があるため、最終的に3週間半かけて30-60分枠のミーティングを計8回行いました。
基本的には登壇希望者は全員登壇いただけるように調整しています。ただ昨年は登壇者が総勢32名だったのに対し、今年は42名と大幅に増えているため、昨年より開会時間を30分早めて登壇枠を増枠する判断を行いました。これは昨年実績で、当日朝のリハーサル時間には余裕があったため、今年も同会場で開催するにあたり開会を早めることは可能と考えたものです。
来年以降同様のイベントを開催し、更に登壇希望者が増加した場合、同様のスキームで運用すると開催時間が長くなりすぎる可能性が懸念されます。今回2トラックだったのを3トラックにする、もしくは選考フローを設けるなどが考えられますが、選考フローは公平性の担保や審査のために必要な手間が増加することや、プロポーザルを書くのが上手い人に登壇してもらいたいとは限らないこと(むしろ普段面白い仕事をしているが登壇など考えたこともなかった、というような方にも発表の場を設けたいという思いがあります)などから、導入検討は慎重に行う必要があると考えています。
登壇内容の質を上げるための取り組み by sourmilk
昨年のPIXIV MEETUP 2023の反省として、特に登壇経験の少ない方へのケアが不足しており、目立ったヘルプ体制もないままリハーサルを迎えた結果、本番直前に発表内容の構成レベルでの見直しが必要になるといったケースが発生してしまった点があります。またリハーサル時は傍聴者なら誰でも気になった点を書き込めるGoogleスプレッドシートを用意していたのですが、ある程度責任を持って網羅的に内容を監修する担当者は明確に定めていませんでした。
そこで今回は、初めての登壇であっても安心して、かつ一定のクオリティで発表出来るよう、登壇サポートという役割を新設しました。数多くのテックカンファレンスへの参加経験を持つメンバーを含む3名で構成され、LPやパンフレットに掲載される発表タイトルや概要文の改善提案、発表リハーサルのレビュー、必要に応じて発表構成の壁打ちやリハーサル後のさらなる改善提案ミーティング等を実施しました。特にメインセッションは会社を代表する発表としての性格がより強いため、全セッションについてリハーサル後にCTOのharukasanと登壇サポートを交えた30分のレビュー会を行い目を通しています。
リハーサルは2回行うため、これだけでも10時間におよび、決して運用コストは低くありません。しかしイベントの核となる登壇のクオリティを確実に底上げすることができ、かつ直前に慌てるような事態も最小限に抑えられました。昨年と比べても登壇品質は総じて高まっていると感じており、今後企業カンファレンスを開催する上でも欠かせない役割だと手応えを得られる結果となりました。
キーノート編 by saki
キーノートは複数の登壇者で構成されますが、ひとつのセッションです。各登壇者の色を出しつつもキーノートとしての統一性も必要になります。そのために、キーノート統括のharukasanの方向づけと中央集権的な資料作成を重視しました。これを成り立たせてキーノートを完成させる役割としてキーノート旗振り役がいます。
作成にあたっては最初に、キーノート統括と各登壇者の間で打ち合わせをしてピクシブとして打ち出したいものを固めます。その後、2回の打ち合わせをマイルストーンにしてスライドの概形を作ります。この時点で、各登壇者の発表内容がほぼ確定します。
そこから先、各登壇者は練習や修正を行い、キーノート旗振り役は本番用の資料完成に注力します。各登壇者の作成スライドをベースに本番用の資料を新たに作りました。挿入する画像と動画は全部で60件近くあり、構造図などの図表はクリエイティブを扱うクリエイティブチームと相談します。すべてにIDを振ってテーブル管理をし、画像個別にやり取りを行えるようにしました。やり取りの中では素材ファイルの受け渡しの他、図表の意図の相談や言語化などをしていました。最後にキーノート統括と演出の力を借りた全体的なスタイリングやアニメーション設定を経て完成しました。
また、キーノートの冒頭ではChatRoidを用いてnorioとの掛け合いを行いました。これは資料作成と並行し、演出とChatRoid担当のエンジニア陣の協力をもらって演出プランや台本を固めました。
全員集まってのリハーサルは本番までに3回行いました。こちらも各登壇者の負担が大きいものでしたが、実際に見ることで修正点に気づくことができ、回を経るごとにクオリティの増加を実感できました。
キーノートは各登壇者が一番緊張します。各登壇者が集中できるように負荷を下げつつもひとつのキーノートとして完成できるような役割があると、ゲストによいメッセージを届けられると考えています。
おわりに by renma
改めてMEETUPのセッションの準備過程を振り返ってみると、登壇者や運営メンバーの多くの創意工夫/努力がMEETUPを形作っていたことを感じます。日々の業務の傍ら発表の準備を進めてくださった登壇者・運営メンバーの皆さん、本当にお疲れ様でした。
さまざまな工夫を行ったPIXIV DEV MEETUP 2024でしたが、まだまだ改善できるポイントはあると感じています。登壇者と運営メンバーの負担をさらに軽減しながら、より質の高いセッション/カンファレンスを実現できるような新しい仕組み作りを進めていきたいと考えています。
また、MEETUPで行われた発表のまとめ記事を、pixiv insideで順次公開されていく予定です。MEETUPに来られなかった方や、見逃してしまったセッションがある方も、ぜひpixiv insideの記事をご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!