サービスづくり

(後編)すぐに使えるディレクターの技術とは?クックパッド社、サイバーエージェント社等のディレクターが大集結!

ピクシブ株式会社 ピクシブ株式会社
2017.3.31
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サービスの要件定義に進行管理、プロモーションからUI改善まで…。
WEBディレクターとしてプロジェクトをうまく回すために必要な仕事は多岐に渡ります。

しかし、そんな中で
「ディレクションのスキルアップってどうしたらいい?」
「社内にベンチマークとなる人が見つけられない…」
「そもそも自社のディレクション手法が正しいのか不安・・」

なんて悩みを抱えるWebディレクターも少なくありません。そこで、「実際に明日からの業務に役立つ情報をシェアできる交流の場が欲しい!」そんな声から生まれたピクシブ主催のイベント「DIRECTORs' SCRAMBLE vol.1」が、2017年3月9日、代々木のピクシブオフィスで開催されました。

前編に引き続き、クックパッド株式会社、株式会社サイバーエージェントのディレクターのセッション内容を、要約してお届けします。

(※ 前編についてはこちらをご覧ください。)

ディレクターとして生きるのに必要な技術

クックパッド株式会社の松岡大輔さん。ディレクターに求められる技術について語っていただきました。

クックパッドは、1998年3月にサービスを開始した日本最大の料理レシピ投稿・検索サービスです。投稿レシピ数は260万品以上、月次利用者数は6,300万人を超えます。

ディレクターは、プログラミングスキルが必要なエンジニアのような技術職ではないと思われていることが多いと感じます。しかし、そうではありません。技術は求められます。

また、ディレクターは多様性があります。クックパッドでは、サービス開発ディレクター、広告ディレクター、プレミアムサービスディレクター、新規事業ディレクターと、さまざまなディレクターがいます。今回はサービス開発ディレクターに必要な技術についてご紹介します。

クックパッドのサービス開発ディレクターは、サービスを提供するために「アイデアを考える」「言語化する」「チームで形にしていく」「結果を確かめる」というフローで進めています。

アイデアを考える

アウトプットを手にするためには、インプットが必要です。僕は3つあると思っていまして、1つは自分自身の経験、2つ目はユーザーインタビューで得られた情報、3つ目はデータ分析だと考えています。今回は1つ目の自分自身の経験についてお話します。

自分自身の経験。これはどういうことかというと、料理をする時の自分の思考と行動をまとめて整理をします。ドッグフーディングを整理して行っています。

自分の思考と行動がわかった上で、ユーザーヒアリングをすると、自分の行動というものさしを持った上で話を聞くことができるようになります。この人は主婦だから?子供がいるからなのか?という違いも捉えた上で、サービス作りに必要なストーリーを作ることができます。

言語化する

アイデアはチームメンバーに伝わるように言語化しなくてはいけません。クックパッドには、そのための型や思考法がありまして、そのフレームワークを使ってアイデアを言語化しています。僕らはこれを「価値仮説」と呼んでいます。

価値仮説を使えば、「このアイデアで本当にユーザーに価値が届くのか」、というのが言語化されます。クックパッドでは、アイデアを実現する際に、かならず価値仮説シートにアイデアを書いて、ブラッシュアップを進めています。

チームで形にしていく

ディレクターは自分で手を動かしてモノを作る仕事はそこまで多くありませんが、一方のエンジニアは手を動かす仕事が多く、双方で仕事のやり方に違いがあります。僕は手を動かす大変さは知っておくべきだと感じていまして、趣味で自力でRuby on Railsのサービスを開発してみました。

こういう経験をしておくとどう業務に活きるのでしょうか?技術的な配慮の無いめちゃくちゃな仕様を提案するのではなく、現実的な実現方法を提案することができるようになります。

またチームメンバーとの関係を築くという点で、僕はコミュニケーション過剰というのを心がけています。挨拶からランチに至るまで、そういうリアルなコミュニケーションをいかに増やすか、というのを大事にしています。

気がついたらGitHubとかSlackのようなツールばかりを使ってコミュニケーションしてしまうんですけど、そういう風にならないよう気をつけなくてはいけません。コミュニケーションを重ねて、信頼を重ねて、良いアウトプットがでてくる状況が生まれると考えています。

結果を確かめる

提供したサービスが実際に使われているかどうかを確かめないと意味がないので、SQLを駆使してデータベースから情報を取り出します。この作業はエンジニアがやるのが普通なのですが、自分でできるようになると、エンジニアの手を借りずに次の手を考えられるようになります。

エンジニアの作業負荷を下げつつ、ディレクターは自分の作業に集中することができます。

ディレクターは技術を身に付け価値を出すことが重要

この業界には僕よりも経験豊富なディレクターがいますが、彼らには経験では勝てません。ではどこで勝つのかというと、技術です。

サービス開発のアイデアを言語化するのが上手いとか、データ分析がすごくできるとか、そういう技術を身に付けて、実際に使って価値を出していくことが、ディレクターとして生きていくための生存戦略ではないかと考えています。

ディレクターに明日はない

株式会社サイバーエージェントの大塚敏章さん。2004年に入社して以来、アメーバブログやソーシャルゲームの立ち上げに関わっており、現在はアメーバブログのUXディレクターを担当しています。大塚さんからは、自身の現場経験から得られた知見を語っていただきました。

私は、ディレクターに明日はあるのか、というのを大きなテーマとして感じています。

サイバーエージェントでは、45%がエンジニアやデザイナーです。一方で、ディレクターは1.6%と非常に少数です(※ 正社員のみ。2016年3月末時点の集計より)。人数が多いと、まとめる人がでてきて、そこにポジションができたりします。しかし、ディレクターは他の職種に比べて人数が少ないため、キャリアパスを考えた時に、登る山がそんなに多くないという問題があります。

また、ディレクターに求められるスケジュール管理やリソース管理は、AIが取って代わることになるでしょう。香港の地下鉄では、1万人の作業員のスケジュール管理やリソース管理は、AIによって行われているという事例があります。僕らの現場にも、こういうのが必ず入ってくると考えています。

一方、クリエイティブな方向性はどうでしょう?今のWeb/ITディレクターは、映画などの他業種ディレクターほど作家性が求められているかというと、そうでもないように思えます。年収の面でみても、より作家性の求められる、映画監督やCM/TVディレクター(特にトップ層)と比べてしまうと下がってしまいます。

この課題を考えた時、どう向き合うのか正直答えが出ませんでした。なので、まずは自身の仕事を振り返りながら考えてみました。

デザイナー、エンジニア、ビジネス、ユーザーを取りまとめるのがディレクターの役割

ディレクターは何をすべき?って、隣のエンジニアに聞いてみました。すると彼は、「進行管理をやってもらうのが助かります。ディレクターさんがいないと、納期がカツカツになりますんで」とニコニコと答えました。ディレクターが周りから求められる基本的な仕事はAIに置き換えられてしまうだろうスケジュール管理です。

だから、ディレクターはガントチャートを作ったりします。ただ、それを作ったからといって、プロジェクトが進むわけではありません。

コミュニケーションが重要です。

例えば、デザイナーがこうしたいというと、エンジニアから「実装コストがかかるのでビジネスサイドで優先順位決めて下さい」と言われて。一方、ビジネスサイドからは「別にここまではいらないかな」って話になって。で、デザイナーに戻すと、デザイナーからは本当はユーザーに聞かないと、てなったり…。

そういうのを聞いて、デザイナー、エンジニア、ビジネス、ユーザーの間を取りまとめるのが、ディレクターの役割です。

実際には、この4つ以外にも色んなステークホルダーがいるため、責任者だけに声をかけても伝言ゲームみたいになってしまいます。だから、適切なタイミングで適切な人に声をかけるような活動が必要です。そこまで考えるとディレクターのコミュニケーションはカオスです。

そういう中にどーんと、ディレクターが濁流の中に放り込まれるというのはよくあることです。

そういう時、基本的なところに立ち戻って、色んなことを考えます。例えば、チームのコミュニケーションのルールを決めて、ちらばった要件定義をまとめたり、スコープをしっかり切ったり等です。またクリティカルパスを視覚化して、KPTで振り返ったりもします。それらの基本的なことをやって、ベクトルを変えていくことが重要です。

こういったことがディレクターの基本能力なのかなと思っています。

UXディレクターという視点から考える事

UXディレクターとしては、こう考えています。

「プロセスを設計するということは、時には結果を単に求めるより重要なこと」だと。なぜなら、ユーザー体験を設計することはプロセスを設計することで、開発のプロセスもそれと同様に重要と捉えているからです。

単に整然としたプロセスがいい、という訳ではなく、チームの開発をどのように進めるのかを確認しておくことを大切にしています。課題を発見して、それを定義して、開発して、届ける。このようなシンプルなフレームワークで運営することは、大事なことです。

またその上で、ユーザーリサーチして、ビジネス要件と、ユーザー心理がマッチしたゴールを定義する。このゴールを定義するというのは、あたりまえのことですが、意外とそれをやらずにプロジェクトを進めてしまうことが、よくあります。

そうならないように、人がどういうタイミングでアクションするのかを考え、どのアクションを起こしたら事業がグロースすることにつながるのか?を定義するようにしています。

また、ユーザー体験を把握するには、数字の集約だけでなく、人が体験として認知できる話(ストーリー)に落とし込む必要があります。だから、僕は、良いユーザー体験を作るには、良い作家になる必要があると考えていますし、そのための取材をして、リアリティを現場に持ち込むということが重要だと思っています。

例えば、アクセシビリティの対応をしていても、教科書通りにやってもあまり上手くいかないことが多いんです。取材して、ちゃんと使ってもらって、はじめてうまくできているのかがわかるんですね。リアリティを理解してはじめて使う人のストーリーが描けるわけです。

体験を設計するというのは、リアリティや夢をどれだけストーリーとして紡いでいくかが重要です。ピクシブさんもポエム駆動開発というのをされていますし、あのユーミンも、丸の内のOLにインタビューをして作詞をしているそうなので、ポエム=作詞とどこか通じるものがあると思います(笑)。

もちろん、良いストーリーだけあっても、サービスが完成するようなことはありません。

技術とかデザインとか、一緒に働く人たちの個性をどうやって結びつけるのかを考えるのが、ディレクションとして一番重要なことです。それこそがアーティストのような面白い活動だと思っています。

ディレクターは広く浅くでは通用しない

そういった、良い話を具現化するために、今は、ディレクターも広く浅くでは通用せず、エンジニアリングであったりデザインであったり、ビジネスについても深く理解して、踏み込んでいったり。いわゆるH型人材になることで、底辺も広がって、キャリアの高さも出てきて、新たなチャンスが生まれるんじゃないかと考えています。

ディレクターは明日が無い!!…なんていいましたけど、ディレクターは今の時代最も面白い仕事だと僕は思ってるんです。

だから、「ディレクターに明日はない」なんて言葉はふっ飛ばしちゃいましょう!

第2回も開催予定です!

ピクシブ主催のディレクター向けイベント「DIRECTORs' SCRAMBLE vol.1」はいかがでしたか?

ディレクター向けイベントというのは、エンジニア向けに比べると数は少ないので、とても貴重な機会だったように思えます。 もちろん第2回も開催します!次回は、5〜6月頃に開催する予定です。なかなか明かされない現場での知見を得られますので、ぜひお気軽にご参加ください。

ピクシブでは、インターネットを通じてユーザーに価値を提供するディレクターを募集しています。Wantedlyでの募集もはじめましたので、興味のある方はご確認ください!

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