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Web上で開催、次世代即売会「BOOTH Festival」が目指す世界

yoshikawa yoshikawa
2018.9.7
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こんにちは!アライアンスチーム、プランナーのreipyです。
今回は、9月8日から開催する「BOOTH Festival」について、企画を担当するディレクターのyoshikawaに、「BOOTH Festival」が目指す世界についてインタビュー形式で話を聞きました。

BOOTH Festivalとは

まずはBOOTH Festivalについて教えてください。

「BOOTH Festival」とは、Web上のみで開催する即売会です。 Webなので、本やCD、グッズはもちろんのこと、デジタルデータも頒布できますし、会場の制約がありませんので、開催中の飛び入りサークル参加も可能です。 第一回の開催は2018年4月6日~8日にアナログゲーム、5月11日~13日にイラスト・マンガ・書籍全般の即売会と2期間に分けて開催しました。

Web上の即売会は過去にも開催されたことがありますか? Web同人音楽作品の即売会「APOLLO」を過去8回開催しています。 2013年頃の話ですが、メジャーの音楽シーンが目に見えて縮小し、相対的にネット音楽を中心とした同人音楽シーンの重要度が、国内の音楽シーン全体の中でも増していました。 そんな中、当時の同人音楽シーンの構造が大きく変化し、それまで売れていた多くの作家さんらの売上が低下する現象が起こりました。 「APOLLO」は当時の同人音楽シーンを支えるべく立ち上げた、「同人音楽シーンのカタログ」兼、Web同人音楽即売会です。 2014年の第1回では650サークルが実際に作品を頒布してくださり、今年6月に開催した8回目の開催では1,000を超えるサークルが作品を頒布してくれました。 これは、日本で一番大きな音楽の即売会「M3」のだいたい⅔の規模、コミケの音楽サークルとほぼ同規模です。

「BOOTH Festival」は、そんな「APOLLO」の経験をもとに立ち上げたWeb即売会です。

BOOTH Festival開催のきっかけを教えてください。 きっかけは東京オリンピックによる、コミケ会場問題の影響でした。 コミケの会場に制約がかかるということは、すなわち大勢の個人作家、ファン、製造会社、流通会社の全てに打撃があるということです。 我々ピクシブは、このような個人創作シーンの生態系の末席で商売をしています。 ですからコミケ会場問題については、弊社としても何かできることがないか、議論を繰り返しておりまして、そこで、音楽以外の創作ジャンルのWeb即売会にもチャレンジするべきという結論に至りました。

一方で、アナログゲームや同人ムック本、技術書などはここ数年とても盛り上がっているジャンルながら、まだまだ広く一般に知られるまでには至っていません。 このようなジャンルには、往々にして「はじめてそのジャンルに興味を持った方にとって、シーンの全容がひと目で把握できるようなカタログ」が整備されていないことが多いので、「その場で作品も買える、シーンのカタログ」を実現すべく、BOOTH Festivalを企画しました。

Web即売会の立ち位置

リアルな即売会とWeb即売会では参加費の有無、リアルの方が購入のハードルが低い、会場問題など…リアルな即売会との棲み分けはどう考えていますか? Webの即売会が生まれたからといってリアルな即売会は決してなくなることはなく、むしろリアルの即売会の熱量、よりあけすけに言いますと、一般参加者さん一人頭の購入額をWebで再現するのは極めて難しいです。 Web即売会は、リアルな即売会を補完できるような場所でありたいと思っています。 具体的には、リアル即売会よりも、シーン全体を一瞬で俯瞰できるカタログに近く、結果としてリアル即売会よりも「知らない作家」に出会いやすい場所を目指しています。 また、もしリアルな即売会が開催できなくても、BOOTH FestivalはもちろんBOOTH自体が成長することで、作家への影響を確実に減らせます。

Webの良さを活かして、リアルを補完ということですね。 私が生まれた頃は、同人作品はほぼ即売会のみで流通されているものでした。 それが、90年代にはいくつかの専門店で店舗流通するようになります。 そして現在では、個人通販のプラットフォームも同人創作のシーンで大分普及してきました。 個人通販のプラットフォームなら委託審査もありませんから、たとえ即売会が縮小してもあらゆる作家を受け入れられます。 また、店舗と店頭スタッフを持たない分、作家への還元率も高くできます。

BOOTH Festivalを作る上でのこだわりを教えてください。

サークル、一般参加者さんとのコミュニケーションです。 とはいっても「互いにコメントをつけ合うようなコミュニケーションプラットフォームを設ける」といったことではなく、冗長なくらいの長文でいいので「なぜBOOTH Fesitvalを開催しようと思ったのか」をイベントのトップページにしっかり載せ、我々が感じている問題意識や、なぜイベントを開催したのかなどの思いを理解してもらうようにしました。 これは、一般的にみなさんがされるような、メッセージを凝縮した短いキャッチコピーを用意して「一瞬で理解してもらう」広報のやり方からは、完全に真逆のやりかたです。 (ファミコンゲーム「MOTHER」のキャッチコピー「エンディングまで泣くんじゃない」のような素晴らしいコピーライティングは、私にはとてもできませんし…) もちろんこのような長文は本来とても読まれにくいものですが、真摯に書けば、少なくとも我々が最も伝えたい人たちにはちゃんと読んでもらえます。 また、それで共感してもらえれば、拡散協力もしてくれます。

広報や広告には「お得です」「面白いから来て」「いますぐチェック」などの言葉をできるだけ使わないようにし、一方的に飛び込んでくる通知としての広告ではなく、純粋なコミュニケーションの手段として使いました。 また、たくさんの作家さんに直接お会いしたり、意見のヒアリングも重ねましたし、とにかく一人でも多くの方に、自分たちがやりたいと考えていることを理解してもらうことに、注力しました。

「真面目にその創作シーンの発展のためにお手伝いをするため、できることを考えた結果として開催している」ということが正しく伝われば、過度な宣伝をせずともイベントを応援して…つまり参加してくれる、というのが根底にある考えです。

BOOTH Festival開催にあたり特に大変だったことはありますか? 音楽は自分の専門分野だったので、シーンや作家が抱える問題・気持ちがある程度分かったのですが、今回のBOOTH Festivalの分野、特にアナログゲームは完全に1ファンの立場であり、全く作り手の立場ではありませんでした。 そこで、先程お話したとおり、作家へのインタビューを通じて、Web即売会のアイディアが正しいかどうか、開催したら興味をもってくれるか、どう開催したら参加してくれるのかをひたすらヒアリングしました。また、市場自体の調査はもちろん、作家が一体どこで・いくらかけて・いくつくらい作品を製造しているのか、オンライン・オフラインそれぞれどこにどんなコミュニティがあるのかなどなど、とにかく様々なことを調べました。

作家への営業も手を掛けました。 コミックマーケットのほか、「ゲームマーケット」という即売会で1サークルずつ、BOOTH Festival への参加のお願いをして回りました。 またその際、事前にメールやTwitterのDM、作家さんだけに届くようなターゲットの絞り方をした専用のTwitter広告などを打って、BOOTH Festival の情報を知ってもらうようにしました。即売会でお会いする頃にはすでに我々のやりたいことが伝わっているよう、前準備もしました。 特にアナログゲームは、BOOTHで販売している作家さんも多くないジャンルでしたので、先程お話したメール等のDMの内容も、テンプレート文の一斉送信ではなく、作家さんやコミュニティごとに違う文章をお送りするなど、手間をかけています。

その結果、どのくらいのサークルが集まったのでしょうか? 書籍回は残念ながら期待どおりには盛り上がらなかったのですが、アナログゲーム回は我々の目標以上の盛り上がりを見せました。アナログゲーム回はゲームマーケットの⅓の参加サークルである250サークルの参加を目指していましたが、結果360ものサークルが参加をしてくれましたし、参加した作家さんで期間中にTwitterで拡散する方も多く見受けられました。 アナログゲームの作品は音楽作品よりも単価が高かったこともあり、サークル単価ではAPOLLOの2倍くらいの売上になり、テーブルゲームの創作シーンの強さを実感しました。

今年買った戦利品のうち、積みゲー状態のもの。 プレイ仲間募集中です。

一方、書籍回は対象ジャンルが広すぎたため、想定ほどの盛り上がりを得られませんでした。 これはAPOLLOを初めて開催したときにも気を付けていたのですが、参加者は必ずしも多く集めれば集めるほど盛り上がるというものではなく、むしろ対象となる方々をしっかり絞り込まないと、熱量が下がってしまいます。 APOLLOの場合、サークル参加条件として「同人イベントでの作品頒布経験があるサークル」のみに絞ったことで、熱量を保ったのですが、書籍回は対象ジャンルを明らかに広げすぎたと考えています。 異なるクラスタの方が一同に会すと、「自分の居場所」感が薄れます。 一言でいうと「幅広く人を集めるほど、盛り下がる」ということです。 頭では理解していたものの、これほどわかりやすく経験したのははじめてでしたので、いい知見になりました。

BOOTH Festivalの未来

BOOTH Festivalのアナログゲーム回2が9月8日、9日の2日間で開催予定ですが、前回から改善したところはありますか? 細かい改善点はいくつかあるのですが、大きなところでは、初心者の方のためのプレイ情報や、仲間探し、TRPGの場合ならオンラインセッションの誘いもできるような Discord サーバ1 を用意しています。

これによって、未経験の方が遊ぶ仲間を探す敷居が低くなることを期待しているほか、Twitter上ではやりにくかった、参加者同士が会話する場所としても利用されれば嬉しいと考えています。 BOOTH Festival アナログゲーム回2

BOOTH Festivalは今後どのような形で進化していくのでしょうか? 矛盾するようですが、BOOTH Festivalがなくても日常的にBOOTHで作品が販売され、BOOTH上で各々の創作シーンがひと目でカタログ化されるようになることが理想です。

また、現在世界中で日本のAnimeArt系のコンテンツのファンが、爆発的に増えています。 いままでもそういったことは言われ続けてはいましたが、実際すでに「同人市場」というくくりでは、中国は日本よりも大きいと言われていますし、アメリカでもYouTubeやSteamに巨大なAnimeArt系の創作シーンがいくつも乱立しています。 日本は、ゲームなどいくつかのシーンにおいては、すでに世界ナンバーワンのAnimeArtや二次創作の国ではありません。 特に去年あたりからTwitter上でも日本のイラストレーターや音楽家さんらも海外のAnimeArtのイラストを盛んにリツイートするようになりましたし、感度の高い方々や発信力の強い方々は、それぞれ海外ファンの存在を気にし始めていらっしゃいます。 pixivのイラストランキングも、外国人率がどんどん上がっていますよね。 一方、現在BOOTHは、様々な制約から海外からの販売・購入が難しい状態です。 はやくBOOTHの国際化を終えて、台湾、インドネシア、アメリカ、アイスランド…とにかく世界中の方々が一同に介して自慢の作品を頒布するWeb即売会を実現したいと考えています。 これは海外の大きな即売会に参加したことのある方なら、みなさん妄想したことがあるはず!

これからのBOOTHの展開に目が離せませんね!
インタビューありがとうございました!

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BOOTHでは、エンジニア、デザイナー、ディレクターなどの職種において、一緒にものづくりを楽しむ仲間を募集しています。

皆様のご応募、心よりお待ちしております。


  1. Discord ... Discord Inc. 製の音声・テキストチャット(掲示板)システム。 

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