ピクシブでは企業として掲げているミッション・ビジョン・バリュー達成のため、毎年7月は全社員が一堂に会し、取締役以下全マネージャーより全体方針を踏まえた事業部単位の目標を共有する時間を設けています。
本日はそこからピクシブのテックビジョンにスポットライトを当てつつ、COOとCTOの対談形式で会社の未来について前編・後編に分けてお話させていただきます。
今回は後編記事となりますので、先に前編記事(https://inside.pixiv.blog/2020/09/23/183040)をご覧ください。
ushio : 前回の対談では、ピクシブ株式会社として「どのような姿を目指して」「どのように舵を切って成長していくのか」CTOとの対談形式で詳細について語ってきましたが、引き続き事業目標とそれに伴う技術・開発方針について話していきたいと思います。
harukasan:よろしくお願いします。前回は全社目標として、下記5つをフォーカスポイントとして挙げていましたね。
1. グローバル
2. 機能間連携
3. 安心・安全
4. ブランド
5. クリエイティブツール
早速ですが、前回の続きである三つ目の「安心・安全」の項目についてからお話しできればと思います。
ushio : ピクシブの持つサービス・事業を含めた複数のプロダクトを通じて、我々はクリエイターの方々にとって、経済活動は勿論、人生を支えるインフラでありたいと考えています。しかしそうなりますと我々としては、クリエイターの方には新しいことに挑戦して貰いつつも、しかし常にその人生を守る事にも注力しなければなりません。
そこで検討した具体的な施策としては、下記3点が挙げられます。
- 基盤(セキュリティ・ID)の担保
- ユーザーが安心できるコミュニティマネジメント
- インフラの安定性を担保し、サービスの稼働率を100%に近づける
harukasan : まず、アカウント、決済といったピクシブの基盤となる部分の安全性を担保することが最も重要になります。そのためにピクシブのアカウント、決済、データにおける基盤システムを開発するプラットフォーム開発部をCTO室内に設置しました。
プラットフォーム開発部では、より安全に利用できる堅牢な基盤システムをピクシブ全体に提供することで、全体の安全性を担保するための開発を行っています。
情報セキュリティの面では、社内横断でインシデントレスポンスを行うpixiv CSIRT(シーサート)という体制を組織しています。CSIRTには、セキュリティに関わるエンジニアだけでなく、コミュニティマネジメントのメンバーも含まれており、単に技術的解決をするだけではなく、ユーザーコミュニケーションも含め、総合的なインシデントレスポンスを行うことを目指しています。
安全と安心という2つのキーワードはよく使われる言葉ですが、それぞれ意味合いが異なります。安全というのは損害の程度が予測でき、それが許容できる範囲に収まっている状態です。一方で安心というのは、環境に応じて主観的に決まるものです。
リスクを定量的に評価し、コストと効果のバランスを考え安全性の確保を行いながらも、ユーザーに対しても十分なコミュニケーションを行うために、必要な情報を集約、提供しユーザーの方々に安心してサービスが利用いただけるよう活動を推進していきます。
最後にインフラの安定性を担保するための施策としては、モニタリング、監視体制の自動化、強化を行っています。継続的なインフラ基盤の改善を行うため、Datadogを用いたモニタリングの強化を行いました。APMを利用することで、これまでより細かなアプリケーションモニタリングを行えるようにしていきます。
また稼働率を向上するために、障害の発生を減らし、復旧をはやめるために自動化や体制の強化を進めています。
ushio : 四つ目の、ブランドについてですが「ピクシブの価値を正面から本気で伝えていく」という指針を掲げています。
pixivがリリースされたのは2007年。日本でも10年以上続くWebサービスは数える程しかありませんが、経年に伴いブランドイメージを2020年現在のユーザーに合わせて行く必要があると考えているからです。
また、我々はサービスに込めた想いが、ユーザーや世の中にしっかり伝わりきっていないため、結果クリエイターやクリエイターの生み出す創作物の価値を最大化出来ていないという問題点も抱えています。
これらを解決するために、「創作活動がもっと楽しくなる場所を創る」というミッションを軸に、現在新しいブランド指針を作成中です。こちらはまた改めて、別の機会で皆様にお伝えできればと思います。
harukasan : 技術職についてですが、ブランディングに関してテクノロジーで解決するというアプローチだけではなく、ブランディングの価値を押し上げていく、ということを考えています。ピクシブの価値を最大限引き出すために必要な開発を、今後も行っていきます。
ushio : 五つ目のクリエイティブツール。こちらは「創作ツールを提供し新しいアソビの場を創る」という指針を掲げました。
サービス・事業を含めたピクシブの経済圏では、「創作過程」へのアプローチに課題が残っています。特に創作を始めたばかりのユーザーが、ピクシブの経済圏を利用する理由がまだ弱いと感じますね。 また技術の進歩に伴い、創作活動の種類、手法も変化していますが、多くのクリエイターがその進歩に追従しきれていない場面も見受けられます。 そこでピクシブはそれらを解決するため、新しいアプローチでクリエイターを支援すべくいくつかのツールに投資をしています。
勿論ツールは提供するだけではなく、技術や機能、またそれを生かした遊び方を提案することが大切です。ユーザーに楽しみ方や遊び方を伝えることも重視し、コミュニティの活性も視野に入れた開発を続けています。
harukasan : 具体的なサービスとしてはpixiv SketchやVRoidが挙げられます。どちらも創作活動の根幹となるクリエイティブツールです。pixiv Sketchではよりお絵かきを楽しめるツールとして機能を充実させていく予定ですし、VRoidは誰でも簡単に3Dキャラクターを作成できるツールとしてより強化していくことを考えています。
ushio : 以上が全社事業目標として掲げた、5つのフォーカスポイントについてです。
harukasan : この5つのフォーカスポイントを推進するために、エンジニアリング体制についての取り組みも強化しています。目標として、「プロダクトの成長に合わせて組織を改善する」ということを掲げました。
この目標を推進するために、社内テックリード体制の強化を推し進めています。具体的にはCTOとテックリードの連携を強め、全社的な技術的改善に対してのリリース速度を上げていくことに取り組んでいます。
ushio : 前編・後編に渡りお伝えしてきた5つのフォーカスポイントについては、どのような結果を得ることが出来たのか、改めてお話しする機会を設ける予定なので、是非改めてご覧くださいね。harukasan、本日はありがとうございました。
harukasan : こちらこそ、ありがとうございました。